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2026.04.13 08:00

イラン紛争の勝者と敗者 中国と無人機企業に大きな利益、中東とNATOは前途多難

米国とイスラエルによる空爆で被害を受けたイランのシャリフ工科大学。2026年4月7日撮影(Sobhan Farajvan/Pacific Press/LightRocket via Getty Images)

米国とNATOの関係悪化がもたらす、あまり注目されていないもう1つの影響は、欧州への武器輸出を目指す米国の防衛企業に、いずれ深刻な打撃を与えることになるという点だ。複数の欧州諸国は、将来的なロシアとの紛争に備えるという明確な目標を掲げ、2030年までに防衛装備品の調達に数千億ユーロを投じる計画を立てている。同時に、欧州連合(EU)の防衛実施計画では、支出の大部分を欧州の防衛企業にのみ割り当て、従来の供給源だった米国の防衛企業には充てないという強い意向が示されている。この新たな方向性を示す一例として、ドイツの最新の軍事調達計画では、今年末までに150件以上の主要な防衛装備品の購入が予定されているが、米企業への発注はわずか8%にとどまると報じられている。これは、ここ数十年の傾向からの大きな転換となる。

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筆者の見解では、安全保障問題で、少なくとも部分的に米国との連携を断ち切ろうとする欧州の新たな意向は、戦闘プラットフォームや感知器、通信システムの違いにより、やがて米国と欧州が合同軍事作戦を実施する能力を著しく複雑化させることになるものとみられる。また、予算圧力の増大により、向こう数年間で米国の防衛予算が縮小する中、重要な輸出市場がなければ、同国の兵器製造網を維持するための費用が上昇することになるだろう。

戦争の規範

イラン紛争のもう1つの敗者は、長年確立されてきた戦争の規範だ。こうした規範には、以下が含まれる。

● 国境の尊重(イスラエルによるレバノン南部への侵攻)
● 国家指導者や非戦闘員に対する殺害を目的とした攻撃の禁止
● 住宅やエネルギー施設を含む民間施設を標的とすることの禁止
● 民間人に対するクラスター爆弾の使用の禁止
● 国際水路の封鎖の禁止(イランによるホルムズ海峡の封鎖)

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悲しいことに、こうした規範への違反は、民間人に対して化学兵器が使用されたシリア内戦や、イスラエルによる住宅地への爆撃や強制避難を含むパレスチナ自治区ガザでの攻撃、そしてロシアが病院や集合住宅、エネルギー施設などを繰り返し標的としているウクライナ侵攻など、近年の他の紛争でもみられる。

1940年代とその後の数十年間に国際社会によって確立された、武力紛争による惨禍を抑制するための戦争規範が着実に侵食されていることは、特に憂慮すべき事態だ。この傾向が続けば、将来の紛争はより暴力的になり、民間人への被害が拡大するとともに、紛争後の解決と復興が一層困難になるだろう。

これらは現時点での筆者の見解であり、停戦が確認され、紛争が完全に終結した段階で、より詳細な分析を行う予定だ。だが、現時点では、それが直ちに実現するかどうかは定かではない。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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