リーダーシップ

2026.04.13 14:00

AI生成の「それっぽい成果物」が職場を侵食──ビジネスリーダーはどう抗うべきか

stock.adobe.com

リーダーにできること

AIが広く使えるようになった当初、多くのリーダーは、チームに試行を促した。この刺激的な新技術をどう使えば最も役立つのかを、各自で見つけてほしいと考えたのである。私は、従業員がAIを試し、改善を重ねるべきだという点には全面的に賛成だ。だが、この自由さは品質管理の無秩序も生んだ。AIをいつ、どのように責任を持って使うべきかについて明確な指針がないままでは、チームは質や丁寧さよりも、手軽さとスピードを優先しがちになる。その結果が、現在私たちが直面しているワークスロップの蔓延(まんえん)なのだ。

advertisement

これを抑え込むのはリーダーの責務だ。ハンコックとその共同執筆者たちは、従業員がスロップで妥協してしまう理由の1つは、余裕がなくなっていると感じていることにあると指摘している。その背景には、パンデミック後も残るストレスや、ハイブリッド勤務による分断、燃え尽きといった大きな要因で、仕事への意欲全体が落ちていることがある。彼らはワークスロップを、こうしたより深い問題の「症状であると同時に、それを加速させる可能性のあるもの」だと書いている。

AIの使い方について意識的な方針を作ることは、ワークスロップの広がりを食い止める1つの方法である。従業員が、その技術を自分たちがどう使っているかについて率直に話せると感じられれば、AIが担うべき仕事と、担うべきでない仕事について、より開かれた議論が生まれる。

私は、考えるための時間を取ることも勧めたい。ワークスロップは、急がされるあまり生まれるものだ。私は毎日、深く集中して働くための時間を大切にしているし、私のチームにも同じ時間が与えられるべきだと思っている。何もかもが緊急扱いになれば、人は近道を探すようになる。リーダーには、そうした人為的な「緊急性」を押し返す力がある。本当に至急で終えなければならない仕事と、じっくり取り組む必要がある仕事を区別すべきだ。そして、「きちんとやるには、もう1日必要です」とメンバーが言えるようにし、その言葉を本気で受け止めるべきだ。

advertisement

すべての議事録や1行のコードを、『武器よさらば』さながらに苦悶しながら磨き上げる必要はない。しかし、もしあなたが1度も卓越性を求めず、常にスピードが中身を凌駕するような運営を続けるならば、あなたの組織はワークスロップ製造工場と大差ないものに成り下がる危険を孕んでいるのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

連載

10年後のリーダーたちへ

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事