カフェインを含むコーヒーを毎日摂取すると、高齢者の認知症リスクが低下する可能性があることが、米ハーバード大学の研究から明らかになった。
医学誌「米医師会紀要(JAMA)」に掲載された研究では、40年間にわたる10万人以上の成人のデータが分析された。調査は、1980~2023年にかけてハーバード大学の長期研究プログラムに登録された女性8万6000人以上と、1986~2023年にかけて登録された男性4万5000人以上を対象に実施された。
研究では、カフェイン入りコーヒー、カフェイン抜きコーヒー、お茶の摂取を含む3つの生活習慣に分け、登録された各参加者について、2~4年ごとに食事データを収集した。その後、各被験者について、認知症の客観的指標と認知機能低下の主観的報告の両方を分析した。
米国では、認知症の最も一般的な原因はアルツハイマー病であり、通常は主観的な認知機能の低下から始まり、記憶力や日常生活動作能力の客観的な障害へと進行していく。同国では600万人以上がアルツハイマー病を患っており、向こう20年間で患者数は1300万人に達すると予測されている。学習や運動、社会的なつながりを維持することや十分な睡眠を取ることに加え、アルコール摂取や鎮痛剤の使用を最小限に抑えることなどが、いずれも高齢期における認知症の発症率低下と関連していることが示されている。
コーヒーやカフェイン入りのお茶の摂取は、高血圧や心不全のほか、あらゆる原因による心血管疾患の死亡率をある程度低下させることが示されているが、冠動脈疾患の発症率の上昇や認知機能との関連については明らかになっていない。
仏リール大学では現在、認知機能の低下を示すごく初期の兆候が見られる患者や、アルツハイマー病の初期段階にある患者を対象に研究が行われている。登録された患者には30週間にわたり、1日2回、偽薬(プラセボ)カプセル、またはカフェイン200mg(コーヒー2杯分に相当)を含むカプセルのいずれかが投与される。カフェインを含むカプセルの場合、1日当たりの総摂取量は400mgとなる。その後、参加者はカフェインの影響を評価するための認知機能検査を受けることになる。
先述のハーバード大学の研究では、既にカフェイン入りコーヒーの摂取と認知機能の向上との間に顕著な相関関係が認められた。カフェイン入りコーヒーとお茶を摂取した群では、認知症の発症率が半分以下に低下し、主観的な認知機能の低下を訴える割合も9.5%から7.8%に縮小した。お茶を飲む人は、カフェイン入りコーヒーを飲む人と同様の効果を報告した。一方、カフェイン抜きのコーヒーを摂取した群では、認知症の発症率や主観的な認知機能の低下が軽減されることはなかった。
研究では、カフェイン入りコーヒーの健康効果には限界があり、1日2~3杯程度でピークに達することも明らかになった。それ以上摂取しても、効果は頭打ちになった。ただし、飲用されたコーヒーがどのように入れられたか、つまりひき立てか、インスタントか、それとも豆のままかといった詳細や、抽出方法、1杯当たりのカフェイン含有量については明記されなかった。同様に、お茶の種類やカフェインの有無についても分かっていない。さらに、数十年にわたる大規模な調査であっても、因果関係を明らかにすることは困難だ。また、この研究の対象集団は医療従事者に限定されていたため、被験者の回答や結果に良い面と悪い面の両方の影響が及んだ可能性もある。
だが、少なくとも現時点では、コーヒーやお茶を飲むことには何らかの利点があり、リスクは恐らくないことが示されている。他方で、睡眠の質を保つためには、カフェインを含む飲み物や食べ物は、日中の早い時間帯に摂取することが望ましい。



