顕著となったのは2010年代以降、特にこの10年のことだと考えられる。しかも、コロナ禍の渦中に出店が加速化したという驚くべき事実がある。
重要なのは、数の増加だけでなく、経済力のある中国の人たちが増えたことが新たな状況を生み出していることだ。これまでの日本人の認識では「移民」は貧しい国から来るものだと思い込みがちだったが、われわれより豊かな「投資をする移住者」も増えているのである。
1年ほど前に配信したコラム「高田馬場のガチ中華は中国人留学生の学食か 人気の店を紹介」でも書いたように、東京の高田馬場に増えたガチ中華の店を利用している中国の若者の多くは、おそらく日本の学生より懐が豊かなのではないだろうか。彼らが利用する高田馬場のガチ中華の店の料金は、それほど安くはない。
だとすれば、中国人飲食店オーナーが日本人相手より、中国人相手の店をやりたいと考えるようになるのもうなずけるところがある。商売とはそういうものだ。それがガチ中華をこれほど急増させた理由でもある。
だが、これだけ日本の社会に外国人が増えると、多くの人たちが漠然とした不安を覚えるのはもっともな話だと思う。これまでわれわれ日本人が経験してこなかった事態が起きているからだ。
こうしたことから、政府も就労ビザである経営・管理ビザや永住権取得などの在留外国人の滞在要件の厳格化を進めている。
在留外国人は特に人口減の進む地方の自治体や産業にとって、地域社会を下支えしている存在となっているのだが、同時に彼らの生活面のケアを担当する行政や子弟を受け入れる教育現場に負担が重くのしかかっていることもあるだろう。
確かに、これまで日本は他の移民受け入れ国に比べると、外国人行政は開放的なところがあったと言える。背景には、経済競争力の著しい低下や少子高齢化による労働者不足という国内の事情があったからだが、それは一般国民の意思ではなく、むしろ主に経済界の要請で労働力や投資を必要としていたからである。
ただし、現在進められているルール変更だけで、不安が解消されるとは思えない。なぜなら、いま日本社会で起きている実態について、明確なイメージをつかんでいる人が多いとは言えないからだ。日々進行している多文化社会の内実についての解像度は上がるどころか、視界の外に放置されているようにさえ筆者には思える。


