国内

2026.04.14 13:30

日本の宇宙産業を九州から引っ張る QPS研究所のSAR衛星戦略

大西俊輔|QPS研究所

約20社の地場企業と開発体制を構築

技術的に難易度が高い小型SAR衛星だが、QPS研究所がユニークなのは、それを九州の協力会社らとつくったことだろう。QPSのQは「Q-shu」。主な協力会社のうち約20社が九州の中堅・中小企業だ。

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「創業者が小型衛星の開発を大学で始めた90年代、日本にある射場は鹿児島県の内之浦と種子島だけでした。せっかくインフラがあるのだから、九州で宇宙産業を根づかせたいと考えたと聞いています」九州中心の開発体制を組んだメリットは大きかった。ものづくりにはすり合わせが不可欠だからだ。

「サイズが限られる小型衛星の開発は、コンポーネントをひとつ大きくするだけでも、ほかのコンポーネントの配置をズラしたり土台を加工し直したりするなどさまざまな調整が必要になります。QPSの協力会社の多くは50km圏内なので集まりやすく、フェイス・トゥ・フェイスでどんどん話が進む。25年は1基ごとに改良しながら計6基を打ち上げましたが、これは地理的に固まっている利点が効いています」

開発・製造体制は今も強化中だ。QPS研究所は28年5月末までに24基、早期に36基の運用を目指している。25年3月には年間10基を製造できる新拠点「Q-SIP」を福岡市近郊で本格稼働。2週間に一度、九州中から協力会社が集まって改良の議論を重ねている。

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QPS研究所は23年12月に東証グロース市場に上場。25年12月には持株会社を新設して株式を移行した。時価総額は965億円(2月4日時点)で2年前から3倍以上になった。売り上げの多くは安全保障や防災・減災目的を中心とした日本の官公庁需要だが、今後は海外や民間の市場開拓にも意欲を見せる。大西は力強くこう語った。

「これまでは先端技術として支援された面がありましたが、今はもう結果を求められるフェーズです。私たちは事業を伸ばすことで日本の宇宙産業を引っ張っていきます」


おおにし・しゅんすけ◎1986年、佐賀県生まれ。九州大学大学院工学府航空宇宙工学専攻博士課程修了。2013年10月、QPS研究所に入社。14年4月、代表取締役社長に就任。23年12月、東証グロース市場に上場。

文=村上敬 写真=吉澤健太一

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