質の高い科学と歴史、そして安定性━━日本の強み
まず共通認識として示されたのは、日本の創薬研究に対する高い評価。
Frazier Life Sciencesのアダム・シンプソン(Adam Simpson)氏は、日本の科学の質の高さと、研究開発における驚異的な規律(discipline)を高く評価し、非常に信頼できる」と述べました。実際にFrazierは過去10年で日本発のアセットを用いた企業を4社設立しています。
SR Oneのラジーブ・ダドゥ(Rajeev Dadoo)氏は、数百年にわたる製薬業界の歴史があり、多くのグローバル製薬企業を輩出している日本がイノベーションの蓄積を持つ点を強調しました。既存の製薬エコシステムに裏打ちされた豊富な知識ベース、そして現在の不安定な国際情勢の中で「日本は安定した国であり、長期開発が必要なバイオテックにとって重要な魅力」と指摘しました。
中国の模倣(Me-too)でなく、日本は独創性(Novelty)を
近年台頭する中国と比べて、日本はどうするべきかも議論となりました。
中国は、既存技術の迅速な模倣(レプリケーション)と驚異的な臨床開発のスピードで優位性を持ちます。一方で、Curie.Bioのベン・アウスピッツ氏は、「その領域で勝つのは難しい」と断言し、日本が取るべき戦略は「イノベーションによる勝利」だと強調します。
Norwestのブライアン・マテシック(Brian Matesic)氏も、スピードと量で存在感を示す中国のような「Me-too(二番煎じ)」を目指すのではなく、日本の強みを「質」に見出し、「日本は科学の質と新規性の高いサイエンスに集中すべき」だとし、「信頼性の高いデータを生み出す点はすでに評価されている」と語ります。
認知から投資へ━━「関係性」が鍵
では、日本は投資対象として十分認知されているのか?
Curie.Bioのアウスピッツ氏は、「良い創薬は希少であり、VCは世界中を見ている」とした上で、実際にどこに投資するかは「関係性と機会」に依存すると指摘します。
Norwestのマテシック氏も、「日本のトップバイオテックに関する認知はまだ低い」と述べ、情報発信の不足を課題に挙げ、特に国際学会や論文を通じたグローバルな可視化が不可欠だと強調しました。
つまり、日本の問題は「存在が知られていない」のではなく、「投資判断に足る形で発信が届いていない」点にあります。


