米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始してから1カ月が経過したが、ドナルド・トランプ米大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、イランとの戦いに加わるよう説得できていない。トランプ大統領はここ数週間、同盟国と協議を重ねてきたが、NATO加盟国の多くの首脳は米国に対し、攻撃に協力する意思はないと伝えている。フランス、イタリア、スペイン、英国はイランへの攻撃に際し、自国の軍事基地や空域の米軍による使用を拒否した。
同盟国を説得できなかったトランプ大統領は、NATOはイランとの戦いで「何もしていない」と批判している。同大統領は自ら創設したSNSのトゥルースソーシャルに、米国はイランへの攻撃で成果を上げており、もはやNATOの支援は必要ないと投稿した。同大統領は1日、米国がNATOから脱退することを真剣に検討していると表明した。英紙テレグラフの取材で、トランプ大統領は同機構を「張り子の虎」と呼び、「NATOに左右されたことは一度もない」と述べた。
同機構を批判した米政府高官はトランプ大統領だけではない。米国のマルコ・ルビオ国務長官とピート・ヘグセス国防長官も、自国と他のNATO加盟国との間の集団防衛という概念に疑問を呈している。ルビオ長官は先月30日、中東の衛星テレビ局アルジャジーラに対し、「NATOは、欧州が攻撃された場合に米国が防衛するためだけの組織であり、米国が必要とする際に軍事基地の使用を認めないのであれば、米国にとってあまり良い取り決めとは言えない」と語った。その上で、NATOへの「関与を継続するのは難しい」と述べた。ヘグセス長官はその翌日、国防総省で開かれた記者会見で、「同盟国が米国のために何をしてくれるかについて、世界に向けて多くのことが示された」と指摘した。
こうした米高官の一連の発言を受け、欧州側は反応を示した。ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、NATOの分断はロシアに有利に働くだろうとの見方を示した。英国のキア・スターマー首相は、中東情勢の混乱に自国が巻き込まれることはないと断言。NATOのマルク・ルッテ事務総長は、来週米国を訪問し、トランプ大統領と同機構との関係について協議すると発表した。



