気候・環境

2026.04.10 17:00

オーストラリアを覆った不気味な赤い空、その理由

真っ赤に染まった空、オーストラリア。2026年3月29日(Xのスクリーンショット)

真っ赤に染まった空、オーストラリア。2026年3月29日(Xのスクリーンショット)

SNSに投稿された鮮烈な画像を見て、血のように赤い空を歌ったU2のお気に入りの歌詞を思い出した。エイリアンの侵略でも、世界の終わりでもない。単に、大気科学が作用した結果だった。西オーストラリアから投稿された映像には、熱帯低気圧ナレルに先立って、不気味な赤い空が映っていた。3月下旬にオーストラリアで見られた赤い空は、科学的に何が起きていたのか。

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この疑問に答えるため、私は世界有数のダスト(粉じん)研究者の1人に話を聞いた。トム・ギルはテキサス大学エルパソ校の教授だ。「これは相当極端だ。私が見た中でも最も赤いレベルのダストだ」と、彼はメッセージで私に伝えた。ギルは続けてこう説明した。「ダストが赤いのは、あの地域の砂漠の砂や土壌に酸化鉄(基本的にはさび)が多く含まれているからで、風がそれを地表からこすり上げ、空中へ巻き上げるのだ」

ギルは西テキサスで同種の現象を調べ、風速が高いほど、ダスト中のマンガンや鉄が多くなることを発見している。何が起きているのか。彼はこう言う。「より強い風による力が増すことで、砂漠の砂粒の表面から、文字どおり、より多くのさびを削り取り、それを空気中に浮遊させている可能性がある」

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ただし、オーストラリアの赤い空には、ギルにとって意外な点もあった。「熱帯低気圧の風によって引き起こされる砂嵐は非常にまれだ。というのも、通常は大量の雨を伴うからだ。だが、熱帯低気圧の強風域が乾燥した側を通過し、砂漠上空を横切ると、非常に激しい砂嵐を発生させることがある」。ギルによれば、東太平洋のハリケーンが米国南西部に移動した際にも、同様のことが数回起きているという。

太陽光が、こうした「さび」を含むダストや土壌粒子と相互作用する仕組みにより、波長の長い橙色や赤色は散乱されにくく、そのため赤みがかった色が目に優勢に映る。夕焼けや朝焼けが鮮やかに見える理由とも非常によく似ている。光がより長い距離を通過し、可視光のうち波長の短い成分が散乱されるのだ。米国南部では、サハラ地域由来のアフリカのダストが上空にあると、鮮烈な夕焼けや朝焼けがしばしば見られるが、オーストラリアで見られたものは、それとは比べものにならない。

熱帯低気圧ナレルはクイーンズランド州、ノーザンテリトリー、西オーストラリア州に上陸した。NASAによれば、「3つのオーストラリアの州・準州に上陸する嵐は比較的まれで、直近では2005年のサイクロン・イングリッドと2000年のサイクロン・スティーブがある」という。

砂嵐や山火事は過去にも、こうした「黙示録的」な光景を生み出してきた。そう考えると、The Fixxが『Red Skies』で歌ったことにも一理あったのかもしれない。

forbes.com 原文

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