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2026.04.01 07:30

第1次AI戦争──イラン攻撃は戦争をどう変えているか

matejmo / Getty Images

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2026年2月下旬、米国とイスラエルはイランに対し、コードネーム「壮絶な怒り(エピック・フューリー)」と「獅子の咆哮(シャアガト・ハアリ)」による共同軍事作戦を開始した。これは2003年のイラク侵攻以来、米国にとって最大規模の軍事作戦となった。これまでの紛争の経過で、米中央軍は1万1000以上の標的を攻撃し、イランは500発超の弾道ミサイルと2000機のドローンで応戦した(編注:2026年3月30日時点)。最高指導者ハメネイ師は初動の攻撃で死亡した。しかし、この紛争が歴史的である理由は数字だけでは捉えきれない。これは、人工知能(AI)、自律システム、そして商用テクノロジーが脇役ではなく主役となった、米国にとって初の戦争だった。

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キルチェーンの中心にあるAI

筆者が2018年に国防総省(ペンタゴン)の国防イノベーションユニット(DIU)長官に就任したとき、プロジェクト・メイヴンはすでに進行していた(2026年3月現在、後述のパランティアのMaven Smart Systemとして結実)。LLM(大規模言語モデル)が登場するはるか以前から、国防総省は複数のベンダーと協力し、衛星画像の中の物体を識別するAI機能であるコンピュータービジョンを改善し、ピクセルを追うアナリストの負担を軽減しようとしていた。

正式名称を「Algorithmic Warfare Cross-Functional Team(アルゴリズム戦争・横断チーム)」というプロジェクト・メイヴンは、ISR(情報・監視・偵察)と地理空間インテリジェンスにおける機械学習の採用を加速するため、2017年にロバート・ワーク国防副長官(当時)によって設立された。空軍中将ジャック・シャナハンと海兵隊大佐ドリュー・クコールが当初メイヴンを率い、国防総省全体でAIの「火をつけるための道を切り開く存在」だと説明した。

その系譜は、パランティアのMaven Smart System(MSS。メイヴン・スマート・システム)へとつながり、今日では米軍のAI駆動型作戦の中核となっている。メイヴンは、衛星画像、ドローンの映像フィード、レーダーデータ、シギント(信号情報)を単一のインターフェースに統合し、オペレーターが標的を分類し、使用兵器を推奨し、攻撃パッケージをほぼリアルタイムで生成できるようにする。シギント(SIGINT[Signals Intelligence])とは、電磁波として発信されるあらゆる「信号」を傍受・収集・解析して得られる情報の総称だ。

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その成果は驚異的だった。作戦開始後24時間で1000以上の標的が攻撃されたが、これは純粋に人間による標的選定プロセスでは考えられないテンポである。このテンポは、従来であれば1日1000の標的を攻撃するのに必要だった人間アナリストのわずか10%で維持されている。

一方で、このシステムの限界も同じくらい明白だ。メイヴンの全体精度は約60%で、人間アナリストの84%と比べて低い。それでもパランティアのCTOは、これを「AIが駆動する初の大規模戦闘作戦」と宣言した。この位置づけは、AI主導の標定における倫理と、民間人保護のセーフガード(安全対策)が十分かどうかという問題を提起する。セーフガードをめぐる論争は、最近のAnthropicと戦争省の対立につながった。Anthropicは現在、密システム上で稼働できると認証された機唯一のLLMを提供しており、それを置き換えるという同省の判断は、国家安全保障にとって損失にほかならない。

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