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2026.04.01 07:30

第1次AI戦争──イラン攻撃は戦争をどう変えているか

matejmo / Getty Images

「精密な量」の台頭

イラン紛争は、将来の戦争の形を決定づける複数の重要概念も実証した。とりわけ「精密な量(precise mass)を目標に投射する」という考え方、すなわち大量・低コストの兵器システムが現代戦の恒常的要素になるという点である。両陣営双方がこの原理を示した。イランは、シャヘド(Shahed)系ドローン群に加え、オマーン湾で商船を狙って無人水上艇(USV)を投入した。米国はLUCAS(Low-cost Uncrewed Combat Attack System=低コスト無人戦闘攻撃システム)で対抗した。これはイランのShahed-136をリバースエンジニアリング(解析・再設計)したドローンで、1機あたり約3万5000(約557万円。1ドル=159円換算)で生産される。これは約175万〜約220万ドル(約2億8000万〜3億5000万円)のトマホーク巡航ミサイルのコストの約50分の1である。

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自律システムへの需要は今や際限がなく、国防総省は航空ドローンだけでなく、海洋ドローン(USVおよび無人潜水機UUV)も迅速に取り込もうとしている。国防総省はDrone Dominance Program(ドローン優勢プログラム)を前進させ、最終的には1機あたり2000ドル(約32万円)という目標価格で30万機の小型一方向攻撃ドローンを迅速に配備し、米国のドローン産業基盤を拡大し、無人システムの調達と試験の方法を変えようとしている。

2025年にプロトタイプの試験飛行をすでに完了した空軍の「協調戦闘機(CCA)」は、近い将来、F-22やF-35といった最精鋭の戦闘機の正式な無人僚機として実戦配備されるようになる。メッセージは明確だ。少数の精緻で高価なプラットフォームに依存する時代は終わったのである。

コスト非対称性という難題の解

おそらく、イラン紛争から得られた教訓の中で、コスト非対称性の問題ほど喫緊なものはない。米国は1年前のイランとの12日間戦争で、約150発のTHAAD迎撃ミサイルに推定18億〜21億ドル(約2862億〜3339億円)を費やした。その年に納入が予定されていた代替迎撃弾はわずか12発で、2026年はおよそ32発にすぎない。一方、イランのShahed-136ドローンは最低で1機2万ドル(約318万円)にすぎず、1発あたり約5万ドル(約795万円)超のアイアン・ドーム迎撃弾の価格のほんの一部だ。

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米海軍も2024年と2025年、フーシ派との戦いで同様の難題に直面した。低コストのドローンを撃ち落とすために、トマホークやその他の高価なミサイルを発射したのである。複数の紛争を通じ、防御側は根本的に不利な交換比率に直面してきた。高価なミサイルで、安価で大量生産される脅威に対処するという構図である。

指向性エネルギー兵器(レーザーなど)は、有望な解として浮上した。イスラエルのレーザー防衛システム「Iron Beam(アイアン・ビーム)」は、2025年後半にIDF(イスラエル国防軍)に引き渡された世界初の運用可能なレーザー防衛プラットフォームであり、2026年3月にヒズボラのロケットに対して初の戦闘使用が報告された。1発あたり2.5ドル(約398円)というコストは、アイアン・ドーム迎撃ミサイルの5万ドル(約795万円)以上と比べて大幅に低く、指向性エネルギーはパラダイムシフトとなり得る。移動式トレーラーに搭載された100キロワットの固体レーザーは、短距離ロケット、ドローン、迫撃弾に対して有効であることが示された。

対ドローンの領域では、AeroVironmentのレーザーシステム「Locust X3」が、1発5ドル(約795円)未満で接近するドローンを破壊できる。しかし限界は残る。Iron Beamは一度に1目標しか交戦できず、飽和攻撃にそれだけで対処することはできない。LUCASのような低コスト迎撃手段と指向性エネルギーシステムを組み合わせた多層的アプローチが必要になる。対ドローン技術の予算は(戦場で極めて重要な役割を担うにもかかわらず、2026年度予算でわずか47億ドル[約7473億円])今後数年で確実に急増するだろう。

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