グレッグ・ドーラン(CEO、Keen Decision Systems)
かつてのハッスル文化のモデルは「働くときは全力、遊ぶときも全力」というライフスタイルだった。しかし、長時間労働には限界があり、燃え尽きや不満を抱える従業員を生んだ。会社のために懸命に働き、できる限りの成果を出すことは重要だが、それが生活のすべてを覆い尽くすべきではない。
当社にとって大切なのは適切なバランスを見いだすことであり、そのために週4日勤務を採用している。このアプローチにより、従業員は今にも限界を迎えそうだという感覚を抱くことなく、懸命に働ける。以下では、賢いハッスル文化を自社で築く方法を紹介する。
設計によって実現するワークライフ・インテグレーション
仕事と生活の双方を最適化するワークライフ・インテグレーションを設計すれば、従業員は両面で力を発揮できる。従業員は、職場で自分のアイデアや個性が尊重されていると感じるべきである。
例えば当社では、月曜のミーティングが新しいアイデアやアプローチで満ちていることが多い。全員がリフレッシュし、週のスタートを力強く切りたいという意欲をもって出社してくるからだ。調査もこれを裏づけている。The Autonomy Instituteは、週4日勤務によって従業員の98%がより意欲的になったと回答したと報告している。
形だけの仕事を退ける
週4日勤務という発想はいまも米国企業の一部では驚きをもって見られている。というのも、週4日勤務を導入している雇用主は22%にとどまるからだ。多くの企業が実験として試す一方、当社がこのスケジュールを実施したのは、組織としての信念のすべてと一致していたためである。
深い休息は高いパフォーマンスの一部である。従業員は完全に仕事から離れ、友人や家族とつながることを奨励されている。そうした会話や時間が、新たなアイデアや仕事への新しい取り組み方を解き放ち、デスクに戻ったときのパフォーマンス向上につながる。例えば最近、ある同僚は休息期間中に友人と会話したことをきっかけに、クライアントへの新しいアプローチを思いついた。
さらに当社は、人は過重労働ではなく「制約」があるほうが最高の仕事をすると考えている。週4日勤務を守ることで、従業員はその4日間で何をすべきかを把握し、その時間内で努力を最大化しようとする。当社は時間を浪費するために存在しているのではない。ゆえに、会議を開くこと自体が目的の会議は行わない。4日間という制約があるからこそ、その4日間の一分一秒を最大限に活かすのである。
このような思慮深い実行が、絶え間ない多忙さに勝り、結果もそれを裏づけている。生産性は向上し、創造性が戻ってきた。チームのエネルギーは高まり、メンバーはより充実感を感じている。
より賢い仕組みを整え、従来のハッスル文化的な考え方を退ければ、強い成果を生む職場環境を育むことができる。
戦略としての回復
いまも一部のリーダーは休息を弱さと捉え、自分の価値を証明した後にようやく得られるものだと扱っている。新入社員は休暇を取る前に「下積み」をすることが期待され、若手社員は会社の文化に耐えられる人間だと示すために長時間労働を求められる。
それは逆である。
回復を戦略の一部として捉えるべきだ。アスリートが意図的にトレーニングし、意図的に休むのと同じように、チームには成果を出すことを求め、仕事が終わったら再充電することを期待する。
この発想は、ミスの減少、より良い意思決定、より長いキャリア、そしてイノベーションの増加につながる。調査もこれを支持しており、週4日勤務を採用する組織の55%が、働く能力の向上を報告している。
休息を無視する企業は、才能ある人材を燃え尽きさせ続け、なぜ成果が伸び悩むのかと首をかしげることになるだろう。一方、休息と再充電の時間を促す企業は、それらを上回り、より長く勝ち残る可能性が高い。
仕事とは、正しい精神状態で、正しいことを行うことである。
最後に
懸命に働くことは、どの企業の成功にとっても重要である。しかし、それは従業員のワークライフバランスを犠牲にして成り立つべきではない。組織として繁栄するために、従業員が燃え尽きる必要があってはならない。
その代わり、労働週という制約の中で人が懸命に働くという発想を受け入れることだ。休息を優先し、長期的な成功を可能にする仕組みをつくる。
従業員が毎週、自分のベストな状態で仕事に臨めることを担保する文化を築けば、負の影響を伴うことなく、ハッスル文化がもたらしていた成果を得られる可能性が高まる。従業員も、きっと感謝するはずだ。



