Guy Barは、Hygearを基盤とするHabeatsの創業者兼会長である。
フィットネス領域で私が知るあらゆる創業者は、同じ野心を抱いてきた。トレンドを生み出し、未来を今日につくることだ。人々の身体の動かし方を変えるプロダクトを構想することには、ある種の魔法がある。
しかし、この業界で長年やりくりしてきたなかで、繰り返し現れるパターンに気づいた。多くの人はいまだに単体のハードウェアや独立したアプリの完成度を高めることに注力しているが、市場に見えているシグナルは「サイロ化」したワークアウトの時代から離れつつあることを示している。これを踏まえ、次の人間のパフォーマンスの波がどこへ向かう可能性が高いか、私の予測を示したい。
未来のシナリオ:シームレスな体験
「運動するかどうか決める」ことに伴う摩擦が消えた朝を想像してほしい。ユーザーは、前夜のバイオメトリクスによる回復指標にもとづく通知で目覚め、現在の生理状態に合わせて調整されたワークアウトの提案を受けるかもしれない。スタジオに足を踏み入れると、機器はすでに名前と自己ベストを認識している。このビジョンでは、トレーナーは人間のプロであれ高度なAIであれ、朝のセッションから夜のリカバリーまでを1つの統合プラットフォームのなかでつなぐ、切れ目のない糸となる。
かつてハードウェアは、物理的なモノを製造し、出荷するプロセスによって定義されることが多かった。だがテクノロジーが成熟するにつれ、価値はそれらのモノがいかに容易に相互に連携できるかへと移っているように見える。フィットネス消費者はますますテクノロジーに精通し、摩擦への許容度は低い。10種類のツールのために10種類のサブスクリプションを管理したいとは、おそらく思わないだろう。
創業者にとっての機会は、ウェアラブル、ジム機器、デジタルコーチが、独奏者の寄せ集めではなく1つの合唱団として機能するような「結合組織(connective tissue)」をつくることにあるかもしれない。
物理プロダクトからサービス・エコシステムへ
企業サイトから個々のギアを直接販売するD2C(Direct-to-Consumer)モデルは、もはや最終到達点ではないかもしれないという傾向が強まっている。だが、同じギアを高付加価値の統合メンバーシップの一部として受け取れるなら、ハードウェアは最終的な売り切りではなく、入口になり得る。
この状況において「ギア」とは、その背後にある知的なサービスとコミュニティへつながる物理的な導管にすぎない。この領域で成功する創業者は、「何をつくれるか?」ではなく、「どうつなげられるか?」と問い始める人たちだと私は見ている。
次の波に向けて、どう設計するか
未来に向けて設計する創業者には、「機能」をつくることから、消費者・機器・サービスコミュニティの相互接続をつくることへ目標を移すことを勧めたい。以下は、私自身の経験にもとづき、着手の助けとなる設計図である。
1. 体験:バイオメトリクスではなく、帰属意識を解決せよ 単にワークアウトを設計するのではなく、アイデンティティを設計せよ。運動は媒介にすぎないが、スマートコーチ技術に携わってきた私の経験では、ユーザーがつながりを感じ、認められていると感じることで継続は生まれる。
2. インテリジェンス:付属品ではなく、頭脳を構築せよ AIを「後付け」として扱ってはならない。複雑なデータをシンプルで人間にわかる指示に変換し、何をいつすべきかをユーザーに正確に伝える中核レイヤーとして機能させるべきだ。
3. システム:孤島を排除せよ 断絶したアプリやデバイスに対して、消費者の許容度はゼロだと想定せよ。ハードウェア、ソフトウェア、そして物理空間は、初日から摩擦のない一貫したストーリーとして機能すべきである。
4. ビジネスモデル:箱ではなく、関係性を売れ 機器を最終目的ではなく、アクセスの入口として扱え。たとえば、一度きりの購入から、長期的なガイダンスと継続性に対価を払うサブスクリプションへの転換を検討せよ。
私が見てきた限り、フィットネステックにおける真の堀(moat)はプロダクトそのものではなく、その周囲のエコシステムにある。ブランドを育てるにあたり、より良いツールをつくることよりも、ユーザー、テクノロジー、そして実際の成果の間に意味あるつながりを築くことに重心が移るフィットネスの未来を見据えて計画すべきである。



