その戦略で重要な位置を占める国の1つがインドである。世界で最大級の若年人口を抱え、テクノロジーセクターが急速に拡大するインドは、グローバルな活躍が期待される学生を求める日本の大学にとって、中心的なターゲットとなっている。
数十年にわたり、米国、英国、オーストラリアの大学は、インドをはじめとする主要な留学生輩出国からの志願者獲得に積極的に取り組んできた。日本の大学はその競争への参入が遅かったが、今ようやく取り組みを強化し始めている。
「インドにはテクノロジー、起業家精神、グローバルな協働に強い関心を抱く、傑出した若い世代がいる」と林は言う。「訪印するたび、人々の温かさにも深い感銘を受ける。それは、日本人が共有する価値観とも強く響き合う」
東京大学は、インドの大学との提携を拡大しつつ、海外留学に関心を持つインド人学生への働きかけを強化している。こうした取り組みは、国内の入学者数が減少するなかで、国際的な学生募集が不可欠になりつつあるという、日本の高等教育全体に広がる認識を映している。
国際化を進める大きな流れのなかで東京大学は、世界からの志願者に訴求する新たな学術的枠組みの構築も進めている。その一例が、2027年に開設予定のUTokyo College of Designである。このプログラムは、各学年100人で構成され、英語のみで行う5年一貫の学士・修士カリキュラムを提供する。
このプログラムの焦点は、工学、社会科学、公共政策を結び付ける学際性にある。しかし、より大きな意義は、大学のグローバルな姿勢の転換を示す点にある。東京大学にとって新たな学部の設置は稀であり、カレッジ・オブ・デザインは約70年ぶりに設立される新学部となる。
林はこうした取り組みを、日本のトップ大学が世界の知と人材の流れとつながり続けるための、より大きな努力の一部だと捉えている。
「いまの大学は、孤立して存在することはできない」と林は言う。「デジタルトランスフォーメーションから気候変動に至るまで、社会が直面する複雑な課題に向き合うには、文化と分野を越えて協働できる学生と研究者が必要だ」


