北米

2026.03.29 10:00

「不発」相次ぐトマホーク コストに見合わぬ延命、米国が抱える巡航ミサイル問題

2026年2月28日、「エピック・フューリー作戦」にて米海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「USSフランク・E・ピーターセン・ジュニア(DDG 121)」から発射されるトマホーク対地攻撃ミサイル(U.S. Navy Photo, Public domain, via Wikimedia Commons)

2026年2月28日、「エピック・フューリー作戦」にて米海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「USSフランク・E・ピーターセン・ジュニア(DDG 121)」から発射されるトマホーク対地攻撃ミサイル(U.S. Navy Photo, Public domain, via Wikimedia Commons)

米国の軍事行動において先鋒を担うトマホーク・ミサイル──正式名称を「BGM-109トマホーク対地攻撃ミサイル(TLAM)」というこの巡航ミサイルは、1600km以上離れた場所から極めて高い精度で目標を攻撃できる長距離精密兵器だ。ところが、アフリカのナイジェリアや、中東のシリアやイラクで、地元の人々が撮影した不発弾の写真の中に爆発した形跡のないトマホークの弾頭が次々と見つかっている。

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これらのミサイルは目標の撃破に失敗したのだ。だが、それらの失敗したミサイルから利益を得ている者たちが存在する。

初代トマホーク・ミサイルは1980年代に実戦配備された。それ以来、米海軍は小規模の調達を続けており、直近4年間の平均調達数量は年間約80発だ。紛争は定期的に発生し、そうなれば米海軍は大量のミサイルを発射する。こうした緩やかな蓄積と突発的な大量消費の繰り返しにより、製造年や信頼性がまちまちなミサイル備蓄が生じている。

ここ数週間のうちにシリアから届いた画像には、トマホーク・ミサイルの不発弾3発が写っていた。イラクのキルクーク近郊でも、少なくとも1発のトマホークの不発弾が確認された。また、今年1月にはナイジェリアで、米軍が昨年12月に武装組織の拠点を攻撃した際のものとみられるトマホークの不発弾少なくとも4発が撮影されている。

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これは何とも体裁が悪い。いったい何が起きているのか、そして、その理由は何だろうか?

古いミサイルを延命する巨額プログラム

トマホークは安価な兵器ではない。海軍の予算文書によると、現行ロットのミサイルは1発あたり189万4927ドル(約3億円)で、1発ごとに使い捨ての発射キャニスターに19万7091ドル(約3200万円)の追加費用がかかる。したがって、トマホーク1発の発射にかかる総コストは200万ドルを超える。

だが、高価なミサイルにも保管寿命がある。何年も保管してあった場合、何らかの不具合が生じるのは避けられない。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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