一方、男らしさを重んじる文化の中で育ったロシア軍の兵士は、ウクライナ軍の女性兵士を恐れているようだ。ロシアの軍事評論家ヤン・ガギンは、「ウクライナ軍の女性兵士は、わが国の戦闘員に対して極めて残忍な振る舞いをする点で際立っている。女性らしく愛らしい笑顔を浮かべながら残忍なことを平気で行う」と語った。別の評論家マクシム・コンドラチエフも、ウクライナの女性無人機操縦士は、負傷した兵士を標的にする際の冷酷さで知られていると述べた。ベルリンシカは、これを家父長的なロシア社会と包摂的なウクライナ社会の「文化戦争」の一環と見なしている。
ウクライナ軍の女性無人機操縦士は男性の隊員の中に溶け込むのではなく、むしろ目立つことを選び、女性らしさを強調することが多い。トロヤンは髪を青く染め、毛皮の猫の耳をつけて戦いに臨んだ。ハーピーズの指揮官は髪を鮮やかなピンク色に染め、三つ編みにしている。ピンク色のFPV無人機を使う女性無人機操縦士もいる。ウクライナの新型巡航ミサイル「フラミンゴ」のピンク色(配備時には灰色に変更される)は、女性設計者の役割をたたえるために意図的に選ばれたものだった。こうした行動は、強い女性を恐れるロシア軍兵士をからかうのにもうってつけだ。
ベルリンシカは次のように説明する。「女性の存在感を高めることは、女性の貢献を無視しがちな従来の軍隊の階層構造に対する意識的な抵抗行為だ。トロヤンのような人物は、より広範な動きを象徴している。ウクライナの女性たちは、戦争の物語の中で自らの地位を取り戻しつつあるのだ」
戦争の歴史が変わる時
新たな技術が社会に多大な影響を与えたという歴史的な例は数多く見受けられる。何世紀にもわたり中世の戦争で決定的な戦力だった騎士から成る貴族階級は、やりと長弓を手にした農民によって打ち倒された。火薬の発明により、政治権力の基盤だった城は数カ月ではなく数日で攻略できるようになり、権力は地方領主から国民国家へと移っていった。大量生産を特徴とする産業革命は社会を再び変革させ、小規模な職業軍は、大規模な徴兵制と総力戦へと取って代わられた。
無人機革命がもたらす社会的影響は、既にウクライナ軍にも及んでいる。白兵戦は、はるか昔の遺物のように見える。現在の戦闘では、敵に射程内に近づくことや、ましてや敵と顔を合わせる機会はめったにない。あるロシア人捕虜は「戦場ではウクライナ兵を1人も見かけなかった。無人機だけだ」と語っている。
このような戦争では、技術力が身体能力に勝り、有能な女性無人機操縦士は男性操縦士と同様に第一人者として認められる。ベルリンシカは、「これはウクライナの軍事史の転換点だ」と語る。この主張が正しければ、無人機技術によって、ヘグセス長官のような人々は歴史の逆行者となるだろう。「戦争は男性にしか戦えない」という考えは、「戦争はよろいをまとった貴族の騎士にしか戦えない」という考えと同じくらい時代遅れになるかもしれない。


