さらに神木は、劇中の役とリアルな自分の境目をいかに薄くできるかにこだわった。「現実とフェイクの狭間、夢と現じゃないですけど、そこを行き来できるのか、溶かしていけるのかを考えていました」。例えば作中の衣装はすべて自前で、メイクも極力薄くした。そういった外見だけでなく、セリフを“噛む”瞬間にまでこだわる徹底ぶり。現実とフェイクの狭間を往来する演技は、スタッフにさえ採用するかNGとするかを迷わせるほどだったという。
「僕も相当リアリティーにうるさいと思っていたんですけど、神木さんもかなりうるさかった(笑)。すごく刺激を受けました」(大森)
「自力でたどり着いた瞬間」がたまらない
神木はフェイクドキュメンタリーにどのような魅力を感じているのか。
「裏側にある真実が一瞬だけ見えたときにゾッとする。その感覚が僕は大好き。もしかしたら作中の登場人物やほかの視聴者も気づいていないことに自分だけがたどり着きそうになっている、とか。発言や事実の裏に隠されているものに自力でたどり着いた瞬間の時が止まるような感覚がたまらない」(神木)
また大森は制作側の視点として、「フィクションでは描きにくい、現実生活で起きる地味な感情の機微、そこから生まれる人々の営みを、フェイクドキュメンタリーという手法ならば、ドラマとして立ち上げることができる」と指摘した。
「『神木隆之介』では、神木さんが“テルちゃん”を探すのですが、その過程はすごく地味。でも、その地味な日々を描いているからこそ物語が動いていく。語り手の機微をメインに物語が紡がれていくときに、視聴者の中で“フィクション”が立ち上がる瞬間がある。そこに僕はフェイクドキュメンタリー独特の魅力があると思っています」(大森)
本作『神木隆之介』は、実在ですでに世に知られている俳優が本人として出演するという点でTXQ FICTIONの作品群としては異色の作品に仕上がった。大森は今後も「TXQ FICTION」シリーズを継続していく計画だ。
衣装(神木):ジャケット…marka / マーカ ¥264000(in tax)、シャツ…marka / マーカ ¥26400(in tax)、パンツ…MARKAWARE / マーカウエア ¥44000(in tax)、靴、ソックス…スタイリスト私物【問い合わせ先】PARKING / パーキング(tel: 03-6412-8637)
※「TXQ FICTION」は公式YouTube(@TXQFICTION)でも随時配信開始予定。


