最も進んでいるセグメントはコーディングエージェントだ。GitHub Copilotは2025年7月までに累計ユーザー数2000万人に達し、Fortune 100企業の90%で導入されている。Cursorは2025年6月に年間経常収益(ARR)5億ドルを突破し、Fortune 500企業の半数超で利用されていると報告した。しかしガートナーは、2024年初頭時点でAIコーディングアシスタントを使っていたエンタープライズのソフトウェアエンジニアは14%未満にすぎないと推定している。普及率90%という同社の予測は2028年まで到来しない見通しであり、その移行はなおこれからである。
構造的な足かせ
技術の品質とは無関係に、普及を遅らせる要因がいくつかある。マッキンゼーによれば、組織の約3分の2は、企業全体でAIをスケールする段階にまだ入っていない。ユースケース単位での導入が広がっているにもかかわらず、企業レベルでEBIT(利払い前・税引き前利益)への影響を報告しているのは39%にとどまる。
摩擦の源は概念ではなく「運用」にある。規制産業や大企業では、調達サイクル、法務レビュー、データレジデンシー要件、セキュリティガバナンスといったプロセスが存在し、技術が魅力的だからといって短縮されるわけではない。1600人のナレッジワーカーを対象にしたWriterの2025年版「エンタープライズAI導入レポート」では、経営層の68%がAI導入時にIT部門と他部門の間で摩擦が生じていると回答した。また、正式なAI戦略がない企業が成功するのは37%にすぎず、戦略がある企業の80%と比べて大きな差がある。
データの準備状況は問題をさらに深刻化させる。AIエージェントは整理されていないデータではうまく機能せず、多くの大企業はいまだデータの統合、分類、アクセスガバナンスの途上にある。ガートナーは、2027年までにエージェント型AIプロジェクトの40%が、コスト増大、事業価値の不明確さ、リスク管理の不備によって失敗すると予測している。
「クラウド」のアナロジーは的を射ている
クラウドコンピューティングは、明確なパターンをたどった。まず開発者が採用し、次に部門単位のワークロードが移行し、最後にミッションクリティカルな企業移行が進む。コーディングエージェントは、同様のカーブを描いているように見える。開発者向けツールであるCopilot、Cursor、Claude Codeは堅調な採用実績を示している。一方、財務、法務、カスタマーオペレーション、サプライチェーンにおける企業向けエージェントの展開は、まだ黎明期にある。


