シンガポールを拠点とする配車・配送大手のグラブ・ホールディングス(Grab Holdings)は、東南アジアの外へ事業を広げる一環として、ベルリンに本社を置くデリバリー・ヒーロー(Delivery Hero)の台湾におけるフードパンダ(foodpanda)事業を買収する。
ニューヨーク上場のグラブは、デリバリー・ヒーローからフードパンダ台湾事業を取得するために6億ドル(約948億円。1ドル=158円換算)を支払う。グラブが声明で明らかにしたところによると、この買収は規制当局の承認を前提に、今年後半に完了する見通しである。
「人口密度が高く交通量も多い都市で、複雑な配送網を運営してきた当社の長年の知見は、活気ある台湾の都市に適しています」と、グラブの共同創業者でグループCEOのアンソニー・タンは声明で述べた。「人口約2300万人の台湾では、当社が日々サービスを提供している東南アジアの消費者と同様、モバイル中心のサービスへの需要が高いのです。ここで食品と日用品の配送事業を拡大できる大きな機会があると見ています」。
今回の買収は、米国を拠点とするデジタル投資プラットフォームのスタッシュ・フィナンシャル(Stash Financial)を先月、4億2500万ドル(約672億円)の評価額で買収したのに続く動きだ。この取引は第3四半期に完了する見通しで、シンガポール、マレーシア、インドネシアにおける同グループのデジタル銀行サービスを強化する。
グラブはフードパンダ台湾事業の買収により、21都市で事業を展開することになる。幅広いサービス網に、グラブのAI活用型プロダクトと豊富な運営ノウハウを組み合わせる。このフードパンダ事業は2025年に約18億ドル(約2844億円)の総取扱高を生み出し、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)ベースで黒字となっている。
東南アジア8カ国で月間アクティブユーザー数が5000万人を超えるグラブは、2025年に2億ドル(約316億円)の純利益を計上し、通年で初の黒字を達成した後、事業基盤の拡大を進めてきた。また、株主還元を強化する取り組みにも力を入れており、自社株買いプログラムに5億ドル(約790億円)を充てている。
同社は、フードパンダ台湾事業の買収が利益押し上げ要因になると見込んでいる。これにより、2028年までに調整後EBITDA15億ドル(約2370億円)を目指す3カ年見通しが後押しされ、同年には少なくとも調整後EBITDAに6000万ドル(約95億円)の寄与をする見込みだ。



