中東で3週間前に戦闘が始まって以来、筆者は、投資家は冷静さを失わず、パニック売りの誘惑に流されないようにと忠告してきた。
その助言はいまも変わらないが、この紛争が当初予想されたほど早く収束に向かっていないという点は認めざるを得ない。
それどころか事態はエスカレートしており、経済への影響もはっきり表れ始めている。いま目の当たりにしているのは、いわば「二速の石油危機(two-speed oil crisis)」と呼ぶべきものだ。このズレを理解することは、この先数週間、あるいは数カ月間の投資ポートフォリオの組み方にも有益かもしれない。
「本当の」原油価格はもっと高い可能性がある
米国の指標油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は19日、1バレル100ドルの大台を超えた。たしかにこれは高い水準である。しかし、2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻した際の急騰に比べれば、今回の上昇幅ははるかに低い。
むしろ真に注目すべきなのは、多くの投資家の「レーダー」に映っていない市場で起こっていることだ。たとえばオマーンでは先週、原油価格が過去最高の1バレル173ドルに跳ね上がったと伝えられる。これは2008年の世界金融危機時すら上回る水準だ。金融ニューズレター「コベイシ・レター」によると、米国とオマーンの原油価格差は70ドル超に広がっている。
この価格差は記録的な大きさである。代表的な油種としてよく引用されるWTIやブレントの価格が反映しているのはあくまで米国や北海の供給状況であって、中東で進行している危機ではないことを思い起こさせるものでもある。
ここから言えるのは、西側の原油相場は世界的な供給不足の深刻さを過小評価しているということだ。ホルムズ海峡が近いうちに再開されなければ、在庫が取り崩されるにつれて米国の価格も追いついていくのは必至だ。
米国の置かれている状況は思われているほどは悪くない
米国の投資家にとって朗報は、米国は中東のエネルギーショックに対する耐性がかつてないほど高まっているということだ。
米国の原油生産は堅調であり、日量1400万バレル近くに達する。また国際エネルギー機関(IEA)によると、加盟諸国が緊急備蓄から放出し始めている石油の量は合計で4億バレルにのぼる。



