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2026.03.25 07:30

「2つの速度」で進む石油危機、投資家が注目すべきは米エネルギー株と金

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スペインの銀行BBVAは最新の分析で、米国は自国でのエネルギー生産や内需の底堅さでショックを和らげられ、2026年に2.5%前後の成長を維持する可能性があるとみている。

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米銀モルガン・スタンレーが過去75年を対象に行った研究によると、戦争やエネルギー危機のような突発的な外部ショックがあったあと、S&P500種株価指数は1年で平均8.4%上昇している。

ガソリン高で米国の世帯は年間12万円の負担増に

米国のガソリン価格は1カ月ですでに1ガロンあたり1ドル(約158円)近く上昇している。ジョー・バイデン前米政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたジャレド・バーンスタインを含む経済学者グループは、米国の一般的な世帯は今年、ガソリン代の負担が740ドル(約12万円)増えると試算している。ドナルド・トランプ米大統領肝いりの「ひとつの壮麗な法」による税還付が帳消しになる額だ。

一方、この紛争にともなう経費は増え続けている。米国防総省は軍事作戦のための費用として2000億ドル(約32兆円)超の追加予算を議会に求めており、これは前回の記事でも触れたように約39兆ドル(約6200兆円)の政府債務の上にさらに積み上がるものだ。1ドル支出するごとに1ドル借り入れることになり、財政圧力は高まっていく。

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欧州の苦境は「炭鉱のカナリア」か

欧州の足元の天然ガス貯蔵量は30%を切っており、次の冬に向けて重要な補充期間に入るなかで5年ぶりの低水準に落ち込んでいる。

ロシアからパイプラインで輸送される天然ガスへの依存を2022年に断って以降、欧州は液化天然ガス(LNG)の輸入に大きく依存するようになった。これらのLNGの多くはカタールで産出され(編集注:欧州委員会のリポートによると、2025年4〜6月期時点でEUのLNG輸入に占めるカタールの割合は8%。米国からの輸入が圧倒的に多く58%を占める)、ホルムズ海峡を通過して運搬されている。現実的な代替ルートは存在しない。

ダメージは長引くおそれがある。カタールはイランによる報復攻撃でインフラが損傷し、LNG輸出能力の17%を失った。国営カタールエナジーの幹部は先週、復旧には3〜5年かかる可能性があるとロイター通信に語っている。筆者の見るところ、これは世界のLNG市場にとって構造的な損失になる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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