この春、あるメディアが<在留外国人最多413万人、初めて400万人台に乗る 令和7年末 1年間で36万人増>(産経ニュース2026年3月10日)という見出しを打った。続いて記事は以下のように淡々と報じていた。
<令和7年の1年間で36万人程度増加し、過去3年間で100万人以上増えた。(中略)在留外国人数は、短期滞在を除き3カ月以上、国内に滞在する中長期在留者の総数。入管庁によると令和3年末時点では約276万人だったが、4年末は約307万人、5年末は約341万人、6年末は約376万人と増え、昨年末は約413万人と初めて400万人を超えた。年間30万人以上増加しており、毎年『中核市』が1つずつ増えているような状況>
筆者はこれまで当コラムで、約5年間にわたって「ガチ中華」なる新種のグルメシーンの諸相についてさまざまなことを書いてきたが、友人や知人から「ガチ中華とは何か」と尋ねられるたびに、次のように答えてきた。
「日本で学び、働く、若くて経済力のある中国および海外の中国語圏の人たちが増えたことで現れた、彼ら好みのガチな現地料理のこと」
なぜこのようなまわりくどい言い方になるかといえば、ガチ中華は、実のところ、単なる新種のグルメといったことではなく、先述の在留外国人統計に表れているような、今日の日本で起きている静かな社会の変容が顕在化した現象だと考えてきたからだ。
豊島区や目黒区の人口と同じ
この「ガチ中華」という現象を筆者が「東京ディープチャイナ」と呼ぶことにしたのは、日本国内でこのジャンルの店が圧倒的に多く出店されているのが東京だったことからだ。さらにガチ中華の店は首都圏のみならず、大阪とその周辺の関西圏、名古屋や福岡などの大都市に散見される一方、地方都市にはそれほど見られないのも特徴だ。
なぜこうした一部の地域にガチ中華の店は集まっているのだろうか? 答えは簡単である。その地域に中国籍および中国語圏の住民が多いからだ。ガチ中華の主要な顧客は彼らなのである。
出入国在留管理庁の2025年6月末の統計によると、在留外国人数は395万6619人(前年末比5パーセント増)。最も多いのが中国籍の人たちで90万738人である。
うち都道府県別でトップは東京都の29万4826人、2位が大阪府の9万2946人、3位が埼玉県の8万7047人、4位が神奈川県の8万4236人、5位が千葉県の6万3613人と続く。
東京都の30万人近い数は、豊島区(29万4644人)や目黒区(28万1400人)の人口とほぼ同じくらいなので、その多さにあらためて驚く人もいるかもしれない。
10年前の2016年6月末の在留中国籍人口は67万7571人だが、これと比較すると約22万人増加し、在留外国人の4分の1を占める存在となっている。これに日本に帰化した元中国籍の人数を加えると、100万人を軽く超えるというのは周知の話である。
しかも、首都圏の4都県だけで全国の中国籍人口の約6割を占める。これが東京および首都圏にガチ中華をこれほど急増させた最大の理由といっていいだろう。筆者の見立てでは、1000軒を超える出店があると考えている。



