「エージェント型企業」とは、ジャック・ドーシー率いるBlock(ブロック)のように従業員の半数を切ることではない。そうではなく、業務がAIエージェントの多層構造によって実行され、調整され、継続的に改善される一方で、人間は判断が必要な場面で監督し、方向づけし、介入する企業のことである。しかも、エージェント型の業務変革を手がけるUiPath(ユーアイパス)のCEO、ダニエル・ダインズによれば、そこではきわめて人間的な「センス」が絶対に必要になるという。
AIエージェントの普及で雇用への不安が高まり、レイオフで答えるCEOが増加
ダインズがいう「センス」とは、適切な判断力、ある程度の美的感覚、さらには少しばかりの気概のようなものまで含む。そして、最先端のAIであっても、その多くは実際のところ再現が難しい。なぜなら、その作られ方に理由があるからだ。要するに、あまりに基本的すぎるか、あるいは集約されすぎているのである。
LLMはあらゆるものの平均値であり、人間のセンスを再現できない
「センスを持つには、身体が必要です」とダインズは最近のTechFirstポッドキャストで筆者に語った。「人格を形成するには、そうしたあらゆる経験を積み重ねて成長する必要があります。というのも、LLMはある意味で、あらゆるものの平均だからです」。
人間のセンスはすばらしいものであり、AIに置き換えられないものがあると分かるのは心強い。なぜなら、AIやエージェント型企業をめぐる最大の懸念は、これまでも雇用だったからだ。つまり、仕事は今後も存在するのか。半分は消えるのか。そして、新たな生産性向上ツールを導入する中で、人はどこに位置づけられるのか。そうしたツールは、多くの面で仕事を楽にするだけでなく、従来は人間の労働だった重要な部分まで、多かれ少なかれ自律的にこなしてしまう。
周知のとおり、現在多くのCEOはこの問いに人員削減で答えている。ジャック・ドーシーのBlockを見れば十分だ。
エヌビディアのCEO、想像力のある企業はAIで「より多くのことを成し遂げる」
しかし、それが唯一の答えなのか。エヌビディアのCEO、ジェンスン・フアンによれば、そうではない。フアンは最近、この点についてかなり強い言葉で語った。想像力のある企業は、AIによって得た能力の拡張を活用して、より多くのことを成し遂げる。そして、人員削減は、「発想が尽きて」いて、「自社が現在の姿を超えられると想像する理由を持たない」企業経営者にとって安易な答えなのだという。
力強い言葉である。そして、あなたが人間であるなら、希望に満ちた言葉でもある。では、フアンの言うように「より多くのことを成し遂げる」を実践した場合、人間のいるエージェンティック企業はどのような姿になるのか。



