「より多くのことを成し遂げる」姿とは
ダインズとUiPathのCMO、マイケル・アタラによれば、「より多く」とは次のような姿である。
1. 人は「作り手」になる
デザイナーがコードをコミットし、プロダクトマネージャーが機能をリリースし、マーケターがA/Bテストを数週間ではなく数日で回すようになる。
2. 仕事はより人間的になる
企業には常に、セラー(売る人)、ビルダー(つくる人)、そしてダインズが提唱する新たな役割であるクリティック(批評者)が必要である。クリティックは戦略・製品・実行を評価する。これらの役割にはいずれも人間の判断力とテイストが欠かせない。定型的な反復作業──筆者にいわせれば、人間を非人間的にしがちなもの──はほとんど含まれないのだ。
3. スピードが野心を解き放つ
従来、企業向けソフトウェアは導入もトレーニングも悪夢のように大変で、立ち上げまでに長い期間がかかり、プロジェクトの失敗率も高かった。新しいモデルでは、LLMが顧客に事業プロセスについて聞き取りを行い、その会社にぴったり合うように新しい企業向けソフトウェアを動的に設計する。比較的ではあるが、迅速かつ容易であり、最終的な成果は桁違いに優れている。1年前ならSFだったことが、現在ではほとんど当然視されつつある。したがって企業は、自分たちが実際に何を提供できるのかについて、もっと大きな野心を持つ必要がある。
4. 企業構造が見直される
もし人が雑務をこなしたり、建物の片側からもう片側へデジタルの石の山を運ぶような仕事をしたりしなくてよいのだとすれば、実際には何を成し遂げられるのか。エージェント型企業は、この問いを発し、そして答える。
エージェントの多層システムが仕事を調整し、企業の構造と組織を模倣しながら進化
ダインズによれば、エージェント型企業は単にソフトウェアと人を組み合わせたものではない。業務全体にわたって作業を調整するエージェントの多層システムになる。個別の工程を処理するタスクエージェント、各フェーズを管理するステージエージェント、そしてワークフロー全体を管理するプロセスレベルのエージェントである。要するに、エージェント型企業は構造と組織の面では完全に人間中心の企業を模倣しつつ、人間がそれらの層の中や上で新たな役割を担うことで、その先へ進化していくのだ。
賢い企業は、削減できる人数ではなく、以前はできなかったことを問う
そして、ここでフアンのいう想像力が重要になる。賢い企業は「何人削れるか」ではなく、「以前はできなかった何を、現在ならできるのか」を問う。率直にいって、現在の世界にすばらしい顧客サービスがあふれているわけではない。そしておそらく、私たちが日ごろ購入している大半のブランドとの体験は、もっと良くできる。
(ここで、コリイ・ドクトロウのいう「エンシッティフィケーション[enshittification、サービスの劣化]」も、この議論に加わる。エンシッティフィケーションとはプラットフォーム企業がまずユーザーを集め、次にビジネス顧客を優遇し、最終的には自社利益だけを追求してサービス品質を意図的に劣化させていく過程を指す)。
もちろん、各社はその問いにそれぞれ異なる形で答えるだろう。しかし、AIの利点は、そもそも私たちがその問いを発せられるようになったことにある。


