アートディレクターのアシスタントを務めながら、カルチャーシーンに飛び込んだ。「当時はコネクションもなく、まさに野良猫のような状態でした」と振り返る彼女は、レコードショップのオーナーの紹介でミュージックバー「不眠遊戯ライオン」で働くように。そこから現在の活動につながる人脈を切り拓いていった。
kiyuu.の作品の核にあるのは、衣食住のうち「食」と「衣」のかけ合わせだ。「自分にとって身近なものから着想します。大学の卒業制作ではアボカドを日常に取り込むという提案をしました」。
2025年6月に行った個展「osushi de show vol2.0 "shun"」では、現代社会における消費のスピードと欲望の循環をテーマにした没入型インスタレーションを展示した。
「山手線に意味もなくずっと乗ってる日があって。そしたら自分がよく行く渋谷の駅に差しかかるときに、回転寿司の広告とファッションの広告が横に並んでるのが見えて。それに対して私は東京そして日本のカオスを感じた。だから寿司とファッションを組み合わせた作品をつくろうって思ったんです」
回転寿司という日常的な構造を、ファッションとカルチャーの流動性と重ね合わせ、都市の「旬」を視覚的に再構成した作品だ。キャンバス作品や特別加工されたグラフィックでも表現し、食べることと着ることが一体化し、観客自身が選択の過程に巻き込まる展示となった。
作品制作における彼女の流儀は、大量のインプットとアウトプットを繰り返す「ツユだくの”DAK PUT”」だ。日常の些細な瞬間を逃さず、自分というフィルターを通して噛み砕き、純度の高いクリエイティブとして排出する。この徹底した自己との向き合いが、どんなクライアントワークにおいても「kiyuu.の色」を失わない強さの源泉となっている。
現在はクライアントワークが8割を占めるが、見据えているのは「アーティスト発のビジネス」の確立だ。
「2025年にすごく海外にたくさん行かせてもらってて。そういう中で、海外で日本のカルチャーをもっと広げたいと思うようになりました。私はお寿司をモチーフにした作品をつくっていますが、そういう風に日本のカルチャーを日本のアーティストが世界に届ける、みたいなことができたらいいなと」
2026年9月には韓国での個展を控え、将来的には欧米にも進出したいと野望を語る。
「まだ自分のIPがビジネスとして成り立つかと言われれば弱いと思う。だからこそ”お寿司と自分のアーティスト性”をちゃんとビジネスにしてきたいです」


