リーダーシップ

2026.03.22 11:24

リーダーが陥る「自分ファースト」の罠:システム思考で組織を動かす

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温かい軽食が載ったトレーが会議室に運び込まれた。人々は反射的に立ち上がって食べ物を取り、互いに話し始めた。部屋の前方で新しいアイデアを説明している人物を、意図せず無視する形になっていた。

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表面的には、問題ないと思うかもしれない。確かに理解できる行動だ。おいしいものは好きだし、温かいうちに食べたい。

しかしチームでこの場面を振り返ると、それが、共同のリーダーシップを弱めてきたパターンの象徴だと気づいた。私たちは、個人の欲求やニーズ、思惑という「サブシステム」を最適化することに力を注ぎ、その代償として「システム」全体の健全性――結束、共有の目標や価値観――を損ねていたのだ。

サブシステムのレベルでは「食べたい」という気持ちがあり、その声が支配的だった。だがシステムのレベルでは、「発表者を尊重する」という集団の合意と整合しない行動を取ってしまっていた。

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システムを犠牲にしてサブシステムを最適化する

私はさまざまな企業で、チームの場におけるこの「サブシステム最適化」の思考をしばしば目にする。しばらくは協働できていても、困難が訪れたり、目を引くものが現れたりすると、メンバーはサブシステムの視点からの行動に戻ってしまう。つまり縦割りに逆戻りし、自分の小さなチームのニーズだけを守ろうとして、全体像とのつながりを失う。なぜ私たちはこれほど簡単に、サブシステムという「小さな自分」の視点に引き戻されるのか。

神経系の第一の機能は、個としての生存であり、個人の欲求とウェルビーイングに奉仕することだ。私たちは本能的に、他者に尽くすよりも自己中心的になりやすい。私はこれを、脳の爬虫類的な部分を想起させる「心理のワニ」と呼んできた。ワニは反射的に「自分が一番」を守ろうとし、「私」を最優先する。

このワニを手なずけ、より大きな視点を立ち上げるには、意識的な努力が要る。より大きな視点は、神経系にとって自然に選ばれるデフォルトのモードではない。

どれほど協働しよう、集団としての大きな目標に向かおうと素晴らしい意図を置いても、私たちの一部――ワニ――は常にそれに反対し、不安げにこう問いかける。「私はどうなる?」。自分のワニを自覚することが、システム全体の最適化に向かう真のチームになるための第一歩だ。たとえサブシステムのレベルでは、ときに痛みを伴うとしても。

システム思考へ向けた小さな後押し

では、次はどうするか。私は、システムの視点をより取り入れ、「私のことは?」という思考を手なずけるために、自分や他者をコーチングする助けになる4つの意図があると考えている。

1. 思いやり:他者が本当に大切にしていることは何か。何を必要としているのか。

2. 奉仕:私たちはここで本当は、共に何を成し遂げるためにいるのか。

3. 充足:本当に私を誇らしい気持ちにしてくれるものは何か。

4. 創造性:全体に奉仕することと部分に奉仕すること、その両方を満たす「両立(and)」をどう見いだすか。

以下、それぞれを順に見ていこう。

思いやり

おいしそうな食べ物が入ってきた。「食べたい」と私は思った。だが発表者はどうか。彼は何を必要としていたのか。彼は私たちにアイデアを共有するために努力してきたのが見て取れた。彼が求めていたのは私たちの注意だった。話している最中に立ち上がるのは、彼にとって落ち着かない体験になり得る。

いま目の前にいる相手の席に座ってみることが、視点を「いま自分が必要としているもの」から、他者を含む広い範囲へと広げてくれる。

奉仕

私たちは何に奉仕するために、そこにいたのか。このセッションの明確な意図は、自分たちが率いる組織に導入したばかりの新しい中核価値観のロールモデルとなる方法を学ぶことだった。

その価値観の一つがアカウンタビリティ(説明責任)である。組織に奉仕するには、一瞬一瞬の場面でアカウンタビリティをもってリードする方法を学ぶ必要があった。私たちは発表者と1時間取り組むことに合意していた。私たちのコミットメントは、会話を中断せず、その場に意識をとどめることだった。

充足

思いやりと奉仕は、果たすべき義務のように感じられることがある。だが、それらが自然に湧き出る、自分の内側のより深い場所とつながることを学べるなら話は別だ。心に平穏をもたらし、行動を誇らしく思えるものは何か。この問いは、私たちの内側にあるより深い知性を呼び起こし、心の叡智とつながらせる。私たちは本当は、どんな存在でありたいのか。なりたい自分を熟考することは、内面を伸びやかにし、より高い誠実さをもって行動しようというインスピレーションを与える。

確かに、おいしそうな食べ物が入ってきた。では私は本当は、どんな存在でありたかったのか。結局、私はその場にいること、同僚と共に奉仕することを望んでいた。興味深いことに、価値観に根差した姿勢は、それ自体がエネルギーを生む。そしてそれは、それ自体がおいしい。誠実さの蜜は、視界に入った「おいしそうなもの」を追いかけたい衝動に、私たちを振り回されにくくする。

創造性

こうした熟考は多様な視点を生み、自分の内側に葛藤を生むこともある。そこで必要になるのが創造的な熟考だ。これらの視点は、同時にすべて真実であり得るのではないか。

どうすれば、食べ物を味わい、発表者を尊重し、同時にチームに対してアカウンタビリティの手本を示し、なおかつ心の平穏と行動への誇りを得られるのか。そこで生まれた洞察は、短い間を置いて互いに確認することだった。「会話をいったん区切って、軽食を楽しむ自然な休憩ポイントだろうか?」と。

私たちはオフサイトの2日目に、このアプローチを実践した。その後、1日目にただ軽食をかき込んだときと比べて、感覚がいかに違うかを振り返った。立ち止まり、その瞬間と互いを尊重したことで、目的とより高い自己とのつながりに養われている感覚があった。

システムのコーチング

次に、あなたとチームが再び分断や縦割りに戻りかけている場面に遭遇したら、次の4つの問いを検討してほしい。

1. 思いやり:他者が本当に大切にしていることは何か。何を必要としているのか。

2. 奉仕:私たちはここで本当は、共に何を成し遂げるためにいるのか。

3. 充足:本当に私を誇らしい気持ちにしてくれるものは何か。

4. 創造性:全体に奉仕することと部分に奉仕すること、その両方を満たす「両立(and)」をどう見いだすか。

あらゆるもののつながりを見いだすことで立ち上がってくる、より深い叡智を味わってほしい。

forbes.com 原文

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