起業家

2026.03.24 09:30

米、新規設立企業の約50%が女性創業 組織でのキャリアに見切りをつけた彼女たちが新天地で追い求めるもの

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事業成長を阻む壁

女性による起業が過去最高のペースで進む一方で、設立されたベンチャー企業が規模を拡大する上で、依然としていくつかの課題が障壁となっている。

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起業後の事業成長を阻む構造的障壁

ウェルズ・ファーゴのデータによると、女性オーナー企業は全米の企業の40%以上を占める一方で、総売上高に占める割合はわずか4.6%にとどまっている。この格差の大部分は企業規模の違いに起因している。従業員を雇用する企業の割合は、男性オーナー企業が約20%であるのに対し、女性オーナー企業ではわずか9%にとどまり、事業の拡大や収益増加を妨げる要因となっている。

女性オーナー企業の大部分は、従業員を雇っていない一人ベンチャーである。こうした企業の平均年商は約3万5000ドル(約557万円)で、男性オーナーが経営する従業員なし企業の平均7万8000ドル(約1242万円)を大きく下回っている。一方、従業員を雇用する企業では、女性オーナー企業の平均年商が160万ドル(約2.5億円)であるのに対し、男性オーナー企業は460万ドル(約7.3億円)と、規模の面で依然として大きな格差が存在している。

事業の成長を阻む要因として、以下のような構造的制約が指摘されている。

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・女性起業家は外部資金を得にくく、自己資金やクレジットカードに依存する傾向が強い
・米国中小企業庁(SBA)による融資やプライベートエクイティなどの資金調達手段の活用が限定的である
・小売、個人サービス、保育など、収益性の低い分野に事業が集中している
・育児や介護に伴う時間的制約がある
・投資家や資金調達コミュニティとのネットワークが限られている

女性による起業は増え続けているものの、こうした構造的課題が足かせとなり、多くの企業がアーリーステージを脱して次の成長段階へ進むことを難しくしている。

経済環境の悪化による事業への圧力

広範な経済環境の変化が、多くの中小企業にさらなる試練をもたらしている。金利の上昇は借入コストを押し上げ、インフレや世界的なサプライチェーンの混乱は、あらゆる業界でコスト増を招いている。

こうした圧力は、女性起業家の多くが展開する小規模かつ消費者向けのビジネスに、より深刻な影響を及ぼしている。小売、個人サービス、ホスピタリティといった分野はもともと利益率が低く、コスト上昇を吸収できる余地が限られているためだ。

2022年から2025年にかけて、売上高100万ドル(約1.6億円)未満の女性オーナー企業は、成長の停滞、またはマイナス成長を余儀なくされた。中でも最小規模の企業群では、雇用が39%以上も減少した。このことは、経済が不安定な時期において、アーリーステージの企業がいかに脆弱であるかを如実に物語っている。

対照的に、売上高100万ドルを超える女性オーナー企業は、雇用・社数・売上高のいずれにおいても安定した成長を維持しており、一定規模に達した企業ほど景気後退局面に対する耐性を備えていることを示唆している。

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編集=朝香実

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