国内

2026.03.21 12:00

トランプ米大統領が日本経済にもたらすのはスタグフレーション

米ホワイトハウスの大統領執務室で握手を交わす同国のドナルド・トランプ大統領(右)と日本の高市早苗首相。2026年3月19日撮影(Alex Wong/Getty Images)

米ホワイトハウスの大統領執務室で握手を交わす同国のドナルド・トランプ大統領(右)と日本の高市早苗首相。2026年3月19日撮影(Alex Wong/Getty Images)

今週、米大統領執務室に座った日本の高市早苗首相は文字通り、そして比喩的な意味でも、苦境に耐えながら笑顔を絶やさない術を見事に実演してみせた。

advertisement

その好例が、ドナルド・トランプ米大統領が真珠湾攻撃に関する奇妙で無礼な冗談を飛ばした際、高市首相は冷静さを保っていたことだ。だが、より大きな問題は、米国のイラン攻撃が日本人の生活だけでなく、高市首相の政権そのものも脅かしているという点だ。

アジア第2位の経済大国である日本は、指導者を頻繁に交代させる傾向がある。過去20年間、高市首相に先立つ11人の首相のうち、大半は在任期間がわずか1年にとどまった。高市首相は先月の総選挙で圧勝して以来、勢いに乗っている。しかし、同首相の政治的な見通しは、トランプ大統領の政策によって、間もなく行き詰まってしまうのではないだろうか?

関税はその1つだ。イラン情勢に起因するインフレの進行は、日本の今年の経済見通しを急速に悪化させている。先月28日に米イスラエル軍がイランに攻撃を仕掛ける以前から、日本はスタグフレーションに苦しんでいた。

advertisement

昨年の日本の経済成長率はわずか1.1%で、物価上昇率の半分にとどまった。一方、実質賃金は1.3%減少し、4年連続で下落した。原油価格が1バレル110ドル近くで推移し、今後急騰する可能性がある中、これらの数字は、これから訪れるインフレの嵐の前の静けさと言える。

日本は石油の約97%を中東から輸入しており、その大部分はホルムズ海峡を経由している。エネルギー費用の高騰により、間もなく食料価格も急騰することになるだろう。さらに悪いことに、円は依然として過小評価されたままだ。輸入インフレのリスクが刻一刻と高まっている。

これら全てが、高市首相が1年以上政権を維持できるかどうかにとって、明白かつ差し迫った脅威となっている。確かに、就任から1年となる10月までに高市首相を更迭すべきだという議論はほとんどなされていない。だが、有権者の経済状況と指導者の政治的地位との相関関係は、米国より日本の方が強い傾向にある。

スタグフレーションは、有権者の意思決定にとって決定的な要因となり得るほか、自由民主党内の高市首相の立場にも影響を及ぼす可能性がある。その結果、高市陣営と日本銀行との間には、ある種の対立関係が生まれた。

次ページ > 高市首相と日銀の対立とは

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事