日銀は今週、政策金利を据え置いた。植田和男総裁率いる政策委員会は、過去18カ月の大半にわたって金融引き締めを続けてきた。日銀は昨年12月、政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%に引き上げた。それ以来、植田総裁はほぼ沈黙を守っている。
考えられる理由の1つは、高市首相が日銀の利上げに明確に反対していることだ。昨年の選挙期間中、同首相は、日銀が金融引き締めを行う考えを「愚か」だと批判していた。もう1つの理由は、日本の債券市場の脆弱(ぜいじゃく)性だ。
今年初め、10年物国債の利回りは1999年以来の高水準に達した。高市首相が掲げる減税と政府の補助金でインフレによる痛みを覆い隠そうとする姿勢は、世界最大の債務負担をさらに増大させることになる。そして、金利を引き上げ続けることで、植田総裁率いる日銀は、今後起こり得る景気後退の責任を問われることになるだろう。
一方、高市首相にとってトランプ大統領との関係の維持は、今後ますます困難になっていくものとみられる。米経済が減速する中、トランプ大統領はアジアの急成長する経済を非難する可能性が高い。この対象は主に中国だが、日本や韓国も含まれる。それにより、新たな関税や貿易制限が課される可能性もある。
さらに、イラン情勢が米国の制御の及ばない方向へと向かうにつれ、窮地に陥ったトランプ大統領が何をするかは全く予測できない。一方、同大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)への攻撃を強めており、ドル相場を不安定にさせている。日本ほど多くの米国債を保有している国は他にない。その額は1兆2000億ドル(約191兆円)に上る。
最後に、日本に対して15%の関税率を適用する見返りとして、トランプ大統領が要求した5500億ドル(約88兆円)の対米投資という小さな問題がある。米最高裁判所の判決により、ほぼ全ての国がその関税率を適用されるようになった今、なぜ日本だけが追加で対米投資を行う必要があるのか? 日本はこれまで、対米投資を約束することでトランプ大統領をなだめようとしてきた。今年はそれが難しくなるかもしれない。
トランプ政権のイラン政策による損失が拡大し続けるにつれ、日本は経済的に維持困難な状況に追い込まれるだろう。日米関係がどこへ向かっているのか、それを笑顔で耐え忍ぶことは、今後ますます難しくなっていくだろう。


