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2026.03.21 13:00

トルコの原子力発電所建設計画 華麗な戦略か、規制上の悪夢か

トルコ南部で建設中のアックユ原子力発電所(adlaphotography/Getty Images)

すべてを変える切り札

現時点で最も重要な兆候は、どの覚書にも見られない。それは、無人機「バイラクタル」の開発元であるトルコの防衛関連企業バイカルが、国産SMRの開発に乗り出したとの報道だ。40メガワット規模のSMRの国内開発計画に関する報道が事実であれば、トルコは単に供給業者の多様化を図っているだけではない。これは、最終的な状態が業者間の裁定取引の問題を完全に回避することを示唆している。

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トルコの国産SMRの実現は、現実的には2040年代になる見通しだ。だが、この計画は現在進行中のあらゆる交渉の様相を一変させることになるだろう。協議に臨むすべての業者は、トルコが最終的に外部の業者を必要としない状態を目指していることを認識している。

トルコ政府が出すべき答え

トルコのマルチベンダー競争は、決して不合理なものではない。むしろ洗練されている。同国は外交上の機運を利用して技術移転に関する譲歩を引き出し、費用を削減するとともに、複数の大国がトルコのエネルギー安全保障に関与し続けるよう働きかけている。

実行リスクも同様に複雑で、同様に現実的だ。原子力発電はソフトウエアの定額サービスではない。今年、トルコ北部シノプ原子力発電所で選定される原子炉の規格は、2086年の同国のエネルギー政策を左右することになる。その基準に基づいて訓練された労働力、それに基づいて構築された規制文化、それに投資された供給網。これらは今後18カ月間で行われる、向こう60年を見据えた取り組みだ。

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トルコ政府がまだ完全に答えを出せていないのは、外交上の機動性を重視して構築された同国の意思決定体制が、その選択に必要な綿密な計画立案能力を備えているかどうかという点だ。

多様化は手段であり、目的ではない。主権とは、4つの基準を同時に集めることではなく、1つの基準を深く習得することから生まれる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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