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2026.03.24 09:15

職場のベテラン5割が陥るわかったふりの罠 若手が抱く会話への意欲を台無しに

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職場での若手社員とベテラン社員は、どのようなコミュニケーションをとっているのか。その会話実態を調査したところ、もっと先輩といろいろな話をしたい若手と、ちょっと話が噛み合わないベテラン社員という構図が浮かび上がった。そこには価値観のズレなど以前に、物理的な問題があった。

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デンマークの補聴器メーカーGN Hearingの日本法人GNヒアリングジャパンは、20〜35歳の男女300人と、聞こえに不安がある60〜75歳の男女300人を対象に調査を行ったところ、若手社員の約2割は、仕事の進め方や考え方について、また経験や失敗談などを、ベテラン社員ともっと話したいと考えていた。さらに、機会があれば話したいと思っている若手社員は約4割にのぼった。あわせて7割近い若手がベテランとの会話を望んでいた。

だが、若手とベテランの会話で気になることを双方に聞くと、若手は、会話のテンポが合わない、はっきりと話したほうがいい、聞き返されるなどの問題を、ベテランは、声が小さくて聞き取りにくい、会話のテンポが速い、聞き取りにくいなどの問題をあげた。つまり会話に意欲的な若手との話が噛み合わない理由は、ベテランの「聞こえ」に大きな原因があったわけだ。

若手との会話で言葉がうまく聞き取れなかった経験があるベテランは、8割強にのぼる。しかもまずいことに、聞き返さずに「わかったふり」をしてしまう経験のある人が5割を超えた。せっかく若手が会話を望んでいるのに、またベテランには若い人たちの考えを知るチャンスなのに、もったいない話だ。

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こうした聞こえの問題が解決され、「多様な視点が交わされる環境」が整えば、「ベテランの知見をビジネスに活かし、それを若い世代が受け継ぎ発展させていく好循環が生まれることも期待されます」とGNヒアリングジャパンは指摘する。

音声コミュニケーション研究を続ける上智大学理工学部の荒井隆行教授は、そもそも高齢者の聞こえが悪くなる典型的な原因は、加齢性難聴による高い音が聞こえづらくなるためだと話す。とくに子音が聞き取れず、7時(しちじ)と1時(いちじ)の聞き分けができないなどの問題が生じる。

そこで、荒井氏は次のような提案を行っている。若手社員は、ゆっくり大きな声で話すよう意識し、口の動きも相手に見えるようにする。ベテランは、背景に音楽や雑音があまり聞こえない静かな場所を会話の場所に選び、相手の口元をよく見るようにするといいとのことだ。恥ずかしがらずに聞き返すことも重要だろう。補聴器の使用も一案。「お互いをリスペクト」して声や聞こえに「配慮が行き届く社会になれば」と教授は話している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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