奇妙で異世界的なSFのアイデアが、ある日突然、完成したかたちのまま現実世界へ跳躍してくるときの感覚を、時折考える。少なくとも、私にはそう思えるのだ。
タイトルで「1ステップ」ではなく「10ステップ」と言ったのは、いままさにそんな感覚だからである。ほんの20年ほど前には想像の外にあった技術が、いま実際に動いている。多くの人にとって、この革命はいまだかなり控えめなものに映る。超音速の鉄道や空飛ぶクルマ、執事ロボットの代わりに、我々が手にしているのは「GPT」だからだ。だが北京では、ロボットがマラソンを走り、人々に手を振りながら歩き回っている。そういう時代である。
インターネット上では、さまざまな人々がSFのアイデアが実現したことを示すこのようなリストを作成している。リー・キャベンディッシュのリストにあるテレポーテーションという項目は、やや誠実さに欠けると感じた。量子研究が人間をテレポートできることを意味するわけでは到底ないからだ。しかし他の発明については、かなり的を射ているように思われ、これらのツールの多くは、あのフィクションの世界『スタートレック』から最初に我々のもとへやってきたのである。
では、何が「想像(Imagination)」から「行動(Action)」へと移るのか。これは、私がAIをめぐるイベントをスイスのダボスやボストンで開催しているグループ名「Imagination in Action(想像を行動へ)」に掛けた言い回しだ。MITの人々をはじめ、技術の最前線で何が起きているのかを見つめている。
宇宙技術に関するパネルディスカッション
私は今年のダボスでのIIAサミットで、ある対談に参加した。物理学者のアニカ・トーマスが、Oligo Spaceの創業者兼CEOであるジェイコブ・ロドリゲス、イェール大学の天体物理学教授プリヤムヴァダ・ナタラジャン、そしてRendezvous Roboticsの共同創業者兼社長であるジョー・ランドンに、SFのコンセプトや宇宙探査などについてインタビューしたのだ。彼女は各パネリストに、想像上のものを現実世界に持ち込むプロセスについての考えを尋ねた。
「私は宇宙映画をたくさん見て育ちました」とロドリゲスは言う。「『インターステラー』のような映画を見て育つと、宇宙産業がどうあるべきかに対して非常に高い期待を抱くようになります。ああいう映画があることのおもしろい点の1つは、昔に戻って『スター・ウォーズ』の映画を全部見返し、ほかのSF映画も片っ端から見ていくと、いざ行動という局面になったとき、そうした種類の映画を、つまり我々がフィクションだと定義してきたあらゆる物語を振り返り、あのすべてが実はリアルタイムで起きているのだと理解することだと思います」
「宇宙に関して言えば、想像力は我々に仕事をさせ、実際に探査へ向かわせ、そこに到達させるための非常に強力な動機になります」とナタラジャンは付け加えた。
ランドンは、宇宙技術が直面する障害の克服について語った。こうしたイノベーションの前に立ちはだかるロジスティクス上の問題である。



