Forbes JAPAN 2026年5月号は「『規律』ある投資」特集。世界的な金融緩和や地政学リスクの高まりを背景に、あらゆる資産が高騰してきた昨今。足元では中東情勢の緊迫化という火種も加わり、ボラティリティが激化するなかで、投資家が真に頼るべき羅針盤は何か。資本市場で勝ち続けるリーダーたちの生存戦略から大インフレ時代を生き抜く術を探った。
徹底したボトムアップ調査とトップダウン分析で市場に眠る成長期待株を厳選する「厳選ジャパン」。期待値の低い銘柄は躊躇なく入れ替える合理性をもち合わせ高リターンをつかみ取る。
2026年3月4日、世界の株式市場には恐怖心が広がっていた。中東情勢の緊迫化などの影響で、前日の日経平均株価の終値が1778円(3%)安に急落。だが、アセットマネジメントOneファンドマネジャーの関口智信は、一点の曇りもない表情だった。
「下落要因はイラン問題への警戒感もあるが、3月期末を控えた年金基金などによるリバランス(資産配分調整)に伴う売却も重なった。年初来株高に対する健全なバリュエーション調整が起こったところで割安な優良株を拾い上げたい。短期的な下落は絶好の投資機会だ」
関口が担当する「厳選ジャパン」は、直近1年でTOPIXを大幅に上回る年率94.39%(2月末時点)のリターンを達成した。株価市場のボラティリティが高まるなかでも、過小評価された成長株を発掘する選別眼と、機動的な銘柄入れ替えで高収益を叩き出している。
25年に株式相場を襲ったふたつの「ショック」でも、冷静な判断でリターンをつかみ取った。1月末の「ディープシーク・ショック」では、中国発のAIモデル登場により「AIの価格破壊が起き、既存の設備投資が止まる」との悲観論が市場を席巻し、AI関連株が売られた。しかし、関口は周辺情報の調査結果、中国技術が米国の生成AIを利用したモデルで「既存の性能を上回ることはない」と見抜いた。AI関連株のポジションを維持し、その後の反発の恩恵を享受したのである。
さらに4月の「トランプ関税」リスクで市場が動揺するなかでは、関税の影響を受けない「エンタメ・IP関連」を買い付ける一方で、構造的な成長が見込まれる「防衛」「AI半導体」を積み増した。下落を「押し目買い」の好機ととらえ、攻めの姿勢を崩さなかった。
「厳選ジャパン」はその名の通り、上場企業約3900社から、投資先をわずか20銘柄に凝縮する。この究極の集中投資を可能にするのが、個別企業1社ずつに取材を重ねる「ボトムアップ調査」と、マクロ経済・成長市場を鳥瞰する「トップダウン分析」を高度に織り交ぜた選定プロセスだ。独自の企業調査で絞り込んだ約850社から、200社を組入候補として常時ウォッチ。投資判断は「成長市場・成長シナリオ」「製品・サービスの競争力」「経営戦略・マネジメントの実行力」「PER(株価収益率)などのバリュエーション」の4軸で、市場構造などの「変化点」を迎えている20銘柄に資金を集中投下している。



