食&酒

2026.03.18 15:15

「中国家庭料理は母の味」ガチ中華のレシピ本が相次いで出版される理由

昨年12月14日、『味坊の味 リョウさんが伝えたい中国の家庭料理』(左右社刊)の発売日に合わせた記念出版イベントが「神田味坊」で開催された。その日のメニューは同書で紹介されたものが中心だった

レシピは母親から教わったもの

一方、りんさんの「中国の家ごはん」の面白さは、彼女が自宅のキッチンを使って調理する姿をそのまま動画で配信するインスタグラムの内容が本としてまとめられたところにある。

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りんさんの『毎日食べたい中国の家ごはん 日本人もハマる! 本場の味』(KADOKAWA刊)は1章「母の味、私の味」、2章「中国の家ごはんは、野菜や豆腐がおいしく食べられる」、3章「これ『下飯』だね!」、4章「インスタで大人気の粉もの」、5章「あるとホッとするスープ・麺。ごはん」の5部構成
りんさんの『毎日食べたい中国の家ごはん 日本人もハマる! 本場の味』(KADOKAWA刊)は1章「母の味、私の味」、2章「中国の家ごはんは、野菜や豆腐がおいしく食べられる」、3章「これ『下飯』だね!」、4章「インスタで大人気の粉もの」、5章「あるとホッとするスープ・麺。ごはん」の5部構成

彼女は福建省出身で、料理学校を卒業後、さまざまな職を経て、SNSでレシピ動画の配信を始めたのは2024年8月1日のことだった。わずか1年ほどで「中国女子の簡単レシピ」のインフルエンサーとしてSNSの総フォロワー数14万人(2025年11月現在)を得たという。

りんさんの動画で語られる料理に対する思いは、梁さんとよく似ている。

彼女は「中華は難しいというイメージを払拭したかった。家庭料理は家ごとに味が異なるもの。肉じゃがのように、アレンジが効く点がレストラン中華との大きな違い。油通しなどの難しい工程や中華鍋がなくても、家庭にあるフライパンや食材で美味しくつくれる手軽さを伝えたい」と語る。

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レシピは母親の味をベースに、自分なりの配合やつくり方を調整して仕上げたものだという。それをベースにしながら、読者がつくりやすいように、日本のスーパーで手軽に買える食材(シーフードミックス、切り身の魚など)や市販の調味料を使いながらも、本場の美味しさを再現する点にこだわったという。

りんさんの推しレシピはビールで柔らかさとコクを出した家庭版「豚バラ照り焼き(紅焼肉)」 撮影=難波雄史
りんさんの推しレシピはビールで柔らかさとコクを出した家庭版「豚バラ照り焼き(紅焼肉)」 撮影=難波雄史

担当編集者の前田雅子さんは、同書を企画した理由について「近年、料理研究家個人の人柄にファンがつくという本のトレンドがあります。自宅のキッチンで一生懸命料理し、美味しそうに食べるりんさんの姿が多くの人の目に留まった。彼女のSNSでの丁寧なコメント返しや代用食材の提案から『みんなにつくってほしい』という読者目線の姿勢とひたむきさが強く感じられた」からだと話す。

筆者の友人の女性編集者も「若い女性が家の小さなキッチンでつくって、食べるところまでを撮っているのが魅力的。片付けや節約に気を配るなど、いまの若い世代の動画は飾ってないところもいい」と評していた。

昨年9月下旬、新宿御苑にある「南方急行」という中国家庭料理の店でりんさんの実演食事会が開催されたのだが、調理をしながら熱心にレシピを説明する彼女の少々早口のしゃべりも愛嬌があって、同世代の日本の女性をはじめ多くの人の心をつかんだ理由がよくわかった。

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文=中村正人

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