経済

2026.03.14 22:21

西側資本を呼び込むウズベキスタン、改革の真価が問われるとき

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ニューヨークでのボーイングとの契約から、ロンドンでのソブリン債券上場まで、ウズベキスタンは欧米資本の呼び込みに自信をもって打って出ている。

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シャフカト・ミルジヨエフ大統領は米国訪問中、トランプ大統領から公の称賛を受けながら、ボーイングと85億ドルの契約に自ら署名した。フランクリン・テンプルトンは、18の国有企業の持分を保有する20億ドルの政府系ファンドの運用者に指名された。ロンドン証券取引所には、ソブリン債および社債として150億ドル超が上場している。

書面上は、中央アジアの経済が過去10年余りで示した動きのうち、最も信頼性の高い「西側志向への転換」の1つである。

改革の物語は本物だ。資本市場の制度設計は進化している。機関投資家資金も流入しつつある。

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しかしこの転換は、制裁の拡大、戦略鉱物をめぐる競争、ESGの厳格化、サプライチェーン再編によって形づくられた分断的な国際秩序の中で進んでいる。そうした環境では、改革は発表ではなく、強靭性によって評価される。

ポリクライシス時代の改革ナラティブ

2022年以降、資本は単純に成長へ向かって流れるだけではなくなった。地政学的な遮断性と規制の予見可能性を示せる法域へと、より強く流れるようになっている。

制裁体制は広がった。デュアルユース(軍民両用)取引の監視は強化された。銅やレアアース関連の投入物といった戦略物資は、いまや国家安全保障の議論に組み込まれている。欧州および北米の資産運用会社ではESGの要請が厳格化した。

中規模経済は、重なり合う圧力の中を進んでいる。ウズベキスタンは、そのいくつかが交差する地点に位置している。

地理的にはロシアに近い一方で、欧米資本を積極的に呼び込んでいる。サプライチェーンの安全保障がワシントンとブリュッセル双方の優先事項となる中で、戦略鉱物資産を開発している。金融市場を近代化する一方、制裁回避ルートの可能性が注視される地域で活動している。

安定した背景ではない。これは、リスクが入れ替わるのではなく積み重なるポリクライシス環境である。

資本市場の勢いは本物である

ウズベキスタンの改革の軌道を退けるのは、すでに進行している重要な構造変化を見落とすことになる。

デュアル上場の仕組み導入や、外貨建て債券発行に関するルール整備は、構造改革のシグナルだ。アジア開発銀行は2025年、ウズベキスタン・スム建て債券を初めて発行し、現地通貨の信認を補強した。欧米の機関投資家資金も、慎重ながら着実に流入している。

ミルジヨエフのグローバル投資家との関与は意図的である。フランクリン・テンプルトンに与えられた政府系ファンドの運用マンデートは、国際基準に沿って国有資産管理をプロフェッショナル化しようとする努力を示す。

マクロ経済上の機会は見せかけではない。人口動態は追い風だ。成長見通しは魅力的である。改革の推進力は大統領レベルでは一貫しているように見える。

だがフロンティア市場では、資本市場改革は地政学から独立して存在しない。

制裁リスクと戦略鉱物

2025年6月、英国はウズベキスタンを制裁回避リスクとして正式に指摘した。同国は、特定のデュアルユース品がロシアへ到達する際の重要な通過回廊として浮上している。

この指定は見出しを独占しないかもしれないが、厳格なコンプライアンス枠組みの下で運用する西側機関投資家にとっては重大である。

問題をさらに複雑にしているのが、ガスプロムバンクに対する米国の制裁だ。同銀行が指定を受ける前に融資で関与していた48億ドルの銅鉱山拡張プロジェクトをめぐり、不確実性が生じている。銅は単なる輸出商品ではない。世界的な電化とエネルギー転換のサプライチェーンにおいて中核にある。

地政学的に分断された世界では、制裁対象の金融チャネルへのエクスポージャーはもはや周辺的な検討事項ではない。資金調達コスト、保険の設計、そして評判リスクに直結する。

ESGの側面

ガバナンスの要素もある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの2025年版世界報告は、活動家、ジャーナリスト、ブロガーに対する抑圧の強まりを記録した。2025年10月には、同団体が、権利に関する懸念が続いているとして、EU・ウズベキスタン強化パートナーシップの枠組みを批判した。2026年1月には、国連の専門家が、拘束されている人権擁護者ダウレトムラト・タジムラトフの即時釈放を求めた。

投資家は、これらの動向の重みづけをめぐって見解が分かれるかもしれない。だがESGマンデートの下で運用する機関投資家資金は無視できない。ガバナンスに対する見え方は、フロンティア市場における資本コストへますます影響を与えている。

マレーシアの戦略的均衡から得られる教訓

ウズベキスタンだけが、欧米資本の呼び込みと多様な地政学的関係の両立を図っているわけではない。

私がForbesのコラムのためにマレーシアのアンワル・イブラヒム首相に行った一連のインタビューで、同首相は、中所得国が直面する課題を「戦略的均衡」と表現した。制裁によって分断された世界で、西側投資を呼び込みつつ、対外パートナーシップの多様性を維持することだ。目標は中立ではなく、強靭性だと強調した。

マレーシアは数十年にわたりこの均衡を取りつつ、地政学ブロックをまたいだ関係を管理しながら商業ハブとしての地位を築いてきた。だがそこでも、ガバナンスをめぐる局面が投資家の信認を周期的に試してきた。

ウズベキスタンは同様の均衡を目指しているが、より短い時間軸で、かつ制裁監視がより厳しい中で進めている。

この綱渡りは合理的である。問題は制度の厚みだ。だが地政学は、式典の署名の場で正体を現すことはほとんどない。紛争解決の局面で正体を現す。

だからこそ投資家にとって最も重大な展開の1つは、ボーイング契約でもロンドン上場でもなく、米国のフィンテック企業Solfyをめぐる紛争かもしれない。

Solfyはウズベキスタンの規制枠組みの下で事業を行っていたが、国立銀行によって締め出された。2026年2月、Amsterdam & Partnersは同社の代理人を務めると発表した。

これにより、状況が通常の商業上の不一致から、より広範なガバナンスのシグナルへと変化する可能性がある。

問題はどちらが正しいかではない。問題は、監視下で制度がどう振る舞うかである。

フロンティア市場では、対立局面における規制の予見可能性が、改革宣言より重い意味を持つ。紛争が透明性をもって解決され、グローバル投資家に示されてきた改革ナラティブと整合する形で運用されるなら、制度の信認は強まる可能性が高い。そうでなければ、ウズベキスタンに関する投資判断は、そのシグナルをリスク計算に織り込む公算が大きい。

米国および欧州の規制当局にとって、外国投資家への圧力が一つのパターンとして見えるなら、国立銀行のドル決済やコルレス銀行関係へのアクセスを含め、ウズベキスタン側の相手先に対する監視を強める契機となり得る。制裁エクスポージャーを点検するコンプライアンス部門は、リスク前提の見直しを迫られるかもしれない。リスクプレミアムは大きく上昇し、場合によっては西側資本市場へのアクセスに影響し始めることもあり得る。

大統領のビジョンと制度の振る舞いのギャップ

ミルジヨエフは、経済改革と西側との関与に自らを明確に重ね合わせてきた。注目度の高い契約や資本市場改革は、その意思を示している。

しかし投資家が資本配分を決める際に見るのは、行政府からのシグナルだけではなく、制度の一貫性である。

ボーイングとの契約は対外的な働きかけを示す。政府系ファンドのマンデートは近代化を示す。一方で、制裁リスクの指定、戦略鉱物のエクスポージャー、そしてSolfy紛争は、規制の整合性を試す。

ポリクライシスの世界では、政治的野心と制度の振る舞いの乖離は些末な論点ではない。改革ナラティブが持続的な資本流入へと転化するかどうかを決める中核変数である。

目を開いたままの機会

ウズベキスタンを切り捨てるべきではない。改革の取り組みは具体性がある。資本市場は開かれつつある。西側との関与は深まっている。機会は本物である。

しかし、ここはシンガポールではない。少なくとも、まだそうではない。

分断された今日の資本秩序では、成長が投資家を引きつける。制度の強靭性が投資家をつなぎとめる。

ウズベキスタンは世界の舞台で野心を示している。投資家が答えを出さねばならないのは、同国の制度が地政学的圧力の下で規制の予見可能性を提供できるかどうかである。

フロンティア市場では、細目が常に重要だ。

そして今のウズベキスタンでは、その重要性はいつも以上に高い。

forbes.com 原文

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