創業80年を超えるフェラーリがニューヨーク株式取引所に来週上場されれば、市場の動向にもよるが時価総額は90億ドル(1兆円)を超え、同氏の資産も10億ドルを上回ることになるだろう。
モータースポーツの世界では伝説的な存在であるエンツォ・フェラーリ氏は、息子のアルフレッド氏を後継者と考えてかわいがったが、ディーノと呼ばれたその息子は、筋ジストロフィー症で24歳で亡くなってしまう。
一方、ピエロ氏はエンゾ氏の古くからの愛人、リーナ・ラルディさんとの間の子。レーシング・ドライバーになることは父から禁じられたが、1966年にフェラーリに入り、ディーノ206コンペティツィオーネの製造部門で働いた。その後、1988年、父親が90歳で亡くなるまで、数々のモータースポーツ部門で勤務している。フィアット創業のアネェッリ一族は1969年に50%のフェラーリ株を取得したが、その後90%まで買い増したため、父親が亡くなった時には、ピエロ氏の所有分は10%だけになっていた。
トップ企業を目指すフェラーリのレースは、あらゆる困難に直面してきた。第一次世界大戦の勃発、1950-60年代のスーパースターのドライバーや観客が亡くなった事故でマスコミから受けた厳しい糾弾。そして、1980年代終わりの伝説的な創業者の死。跳ね馬のエンブレムで知られるフェラーリはそんな時代を切り抜けてきた。
現在では操作性、高級性、スタイリングの象徴的な存在となったフェラーリは、出荷台数を限定しているにも関わらず世界の高級車市場の23%のシェアを誇り、売り上げは31億4,000万ドル(約3,750億円)に及ぶ。