マイクロソフトは、利用者の非公開の医療記録にアクセスし、「すぐに行動に生かせる、個別化された健康情報」を提供する新たなCopilot機能を発表した。医療界から懸念の声が上がるなか、同社もまた「医療の超知能」を目指す動きに加わった。
Copilot Healthと呼ばれるこの機能は、医療記録やスマートウォッチなどのウェアラブル機器のデータ、さらに利用者がAI経由で提供する健康履歴を組み合わせて動く。
Copilot Healthは、米国の医療提供者名簿のリアルタイム情報につながっており、利用者は診療科、所在地、対応言語、保険の適用範囲で医療従事者を探せる。
マイクロソフトは、医療用途のAIに参入する最新のビッグテック企業となった。グーグル、OpenAI(1月にChatGPT Healthを導入)、そして今週Health AI (ヘルスAI)アシスタントを立ち上げたアマゾンに続く動きとなる。
マイクロソフトによれば、この機能は「医師の代わり」になることを意図したものではないが、より短時間で使えるという。
このサービスは段階的に提供され、米国時間3月12日にウェイトリストの受け付けが始まる。
有力な医療機関の医師らは、利用者が医療助言をAIに頼ることに懸念を示している。先月『Nature Medicine』に掲載された研究では、研究者らが参加者に健康に関する場面設定を示し、医療助言を得るためにAIチャットボットを使う現実に近い状況を再現した。ボットとのやり取りの後、参加者が想定された病状を正しく特定できたのは、約3分の1にとどまった。救急受診すべきか、自宅にとどまるべきかといった次の適切な対応を選べたのも43%にすぎなかった。
OpenAIによれば、こうした使い方はすでに一般的になっており、毎日4000万人超が健康に関する助言をChatGPTに求めている。これは、同チャットボットに送られる全メッセージの5%超を占める。
オックスフォード大学の著者レベッカ・ペイン医師は「AIは、医師の役割を担える段階にはまだありません」と述べる。共著者のアンドリュー・ビーン医師はさらに「医師は、患者自身が伝えるべきだと気づいていない症状についても質問する訓練を受けています……。人は、そのモデルに何を伝えるべきかわかっていないのです」と述べている。
マイクロソフトによれば、同社のAIはすでに毎日、5000万もの健康関連の質問に答えているという。
イーロン・マスクは、専用の健康機能がないにもかかわらず、Xの利用者に対して、医療助言を得るためにチャットボットのGrokを使うよう繰り返し勧めてきた。2月には「医療データの写真を撮るか、ファイルをアップロードして、Grokにセカンドオピニオンを求めよう」と投稿したが、当のGrok自身が「自分は医療の専門家ではない」と反論し、リプライ欄で「機微な情報」を共有しないよう強く推奨する一幕があった。



