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2026.03.13 12:30

エヌビディア、約4兆円を「オープンウェイト」AIモデル開発に投資──CUDA基盤を強化

Photo by Jonathan Raa/NurPhoto via Getty Images

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エヌビディアが、今後5年間で260億ドル(約4.1兆円。1ドル=159円換算)をオープンウェイト(open-weight)AIモデルの開発に投資するという計画が明らかになった。同社幹部が確認した2025年の財務報告書によるものとして、Wiredが最初に報じた。オープンウェイトモデルとは、AIシステムの動作を規定するパラメータを公開するもので、開発者・研究者・スタートアップがダウンロードし、修正し、自社のインフラ上で実行できる。

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グーグルによるAndroid発表以来の、テック業界で最も攻撃的なエコシステム戦略

参考までにいえば、OpenAIがGPT-4の訓練に費やした金額は約30億ドル(約4770億円)とされている。エヌビディアの投資額は、Anthropic(アンソロピック)の現在の企業価値にほぼ匹敵し、メタが2025年Reality Labsに投じた金額を上回る。AI導入のためにBlockの従業員を40%削減したばかりのジャック・ドーシーは、「素晴らしい」と称賛した。

これは、グーグルがAndroidを発表して以来、テクノロジー業界で最も攻撃的なエコシステム戦略であり、同時にエヌビディアが過去に取った中で最大の戦略的リスクでもある。その理由を理解するには、エヌビディアが実際に何を守ろうとしているのかを理解する必要がある。

約20年かけて構築したソフトウェアエコシステム、「CUDA」とは

エヌビディアは2026年のデータセンターGPU売上高の86%のシェアを握っており、2024年の約90%からは低下している。みずほ証券はセグメントによって70〜95%と推定している。エヌビディアは2026年度第3四半期に512億ドル(約8.1兆円)の四半期データセンター売上高を計上し、これは総売上高570億ドル(約9.1兆円)の90%を占める。

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400万人以上の開発者、3000以上の最適化されたアプリを抱える

エヌビディアにとって売上のエンジン、“堀”となっているのはハードウェアではない。同社が約20年かけて構築してきたソフトウェアエコシステム、CUDAである。CUDAには400万人以上の開発者、3000以上の最適化されたアプリケーションがあり、すべての主要AIフレームワークと深く統合されている。大学ではCUDAを教え、研究論文はCUDAでベンチマークを行う。CUDAベースのシステムを競合プラットフォーム向けに書き換えるには、エンジニアの再教育、最適化されたカーネルの書き換え、パフォーマンスパイプラインの再検証、そして運用上の不確実性の受け入れが必要となる。スイッチングコストは単に技術的なものではない。組織的なものでもあるのだ。

AMDやOpenAIにより、本格的な浸食に直面

しかし、この堀は初めて本格的な浸食に直面している。AMDのMI355Xは現在、特定のベンチマークでエヌビディアのB200より30%高速な推論性能を実現し、1ドルあたりのトークン数は約40%優れている。AMDのROCm 7.0はPyTorchとJAXをネイティブでサポートするようになった。OpenAIのTritonコンパイラにより、チームはコードを書き換えることなくAMDやインテル上でモデルを実行できる。Built Inの2026年1月の分析では、ハードウェア非依存のコンパイラが普及するにつれ、CUDAの優位性は転換点に達しつつあると論じられた

この文脈があるからこそ、260億ドル(約4.1兆円)の発表は腑に落ちる。エヌビディアは寛大さからソフトウェアを無償提供しているわけではない。競合他社がエコシステムを弱体化させようとしているまさにその瞬間に、エコシステムを強化しているのだ。

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