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2026.03.13 12:30

エヌビディア、約4兆円を「オープンウェイト」AIモデル開発に投資──CUDA基盤を強化

Photo by Jonathan Raa/NurPhoto via Getty Images

なぜ、グーグルのAndroid戦略と比較するのか? 異なる点は何か

Wiredなどの報道では、エヌビディアの戦略をIBMの1981年のPC発売、グーグルのAndroid、テスラの特許公開と比較していた。Androidとの比較が最も的確だが、決定的に異なる点がある。

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グーグルがAndroidをオープンソース化したのは、世界中のすべてのスマートフォンのデフォルト検索エンジンをGoogle検索にするためであり、そこが実際の収益源だった。携帯電話メーカーは薄いハードウェアマージンを得た。グーグルはプラットフォームを通じて流れるデータと広告収入を獲得した。

エヌビディアの手法も同様である。すべての開発者がモデル上で構築し、すべてのモデルがエヌビディアのハードウェア向けに最適化されるよう、モデルをオープンにする。そしてハードウェアこそが実際の収益源となる。エヌビディアはすでに推論タスク向けのNemotronや特定のワークフロー向けの専門モデルをリリースしている。260億ドル(約4.1兆円)の投資はこれをフロンティア規模の開発に拡大し、エヌビディアをOpenAIやAnthropic(アンソロピック)と直接競合する立場に置く。これまで両社はエヌビディアの最大顧客だった。

これがグーグルが直面しなかった「ひねり」である。グーグルはサムスンやHTCにハードウェアを販売していなかった。エヌビディアはマイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタにチップを販売している。この4大ハイパースケーラーは同時にエヌビディアの最大顧客であり、最も意欲的な競合相手でもある。4社すべてがエヌビディア依存を減らすためにカスタムシリコンを開発している。Microsoft Azure、アマゾンのTrainium、グーグルのTPU、メタのMTIAチップはすべて、この260億ドル(約4.1兆円)が阻止しようとしていることを実行するために設計されている。すなわち、AI開発とエヌビディアハードウェアの結びつきを断ち切ることだ。

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エヌビディアのオープンウェイトモデルが十分に優れていて、開発者が標準的なエコシステムと使用するようになれば、それらモデルはエヌビディアGPU向けにチューニングされ、ハードウェア依存が強化される。もしモデルがハイパースケーラーの自社チップ開発を加速させれば、投資は裏目に出る。報告書によると、資金はモデル開発、コンピュートインフラ、研究人材、そして「エコシステム開発」に充てられる。後者にはパートナーシップや買収も含まれる可能性がある。

「研究論文の90%超が、CUDAソフトウェアを引用」という主張の背景

Wiredの記事などでは「新しいAI研究論文の90%以上が、エヌビディアハードウェア向けに特別に最適化されたCUDAソフトウェアを引用している」と述べられていた。この数字は、特定の引用数というよりも、学術的ベンチマークにおけるエヌビディアの優位性を指しているようだ。検証可能な事実は以下の通りである。エヌビディアはデータセンターGPU売上高の86%を占めている。CUDAは10年以上前に大学で教えられ始めて以来、AI開発のデフォルト環境となっており、研究論文はほぼ例外なくエヌビディアハードウェアでベンチマークを実施する。それが利用可能だからだ。SDxCentralの2026年1月の分析では、CUDAのコンパイラ、ライブラリー、APIは「機械学習モデルと企業AIデプロイメントのコアインフラ」と評されている

実質的な効果はWiredなどの主張と同じである。AI開発の圧倒的多数がエヌビディアのプラットフォーム上で行われている。ただし、そのメカニズムは単純な引用指標ではなく、エコシステムの優位性によるものだ。

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