イラン戦争が世界的な石油とガソリン価格の急騰を招いたことを受け、トランプ政権は100年前に制定された「ジョーンズ法(1920年商船法)」の適用停止を検討している。この連邦法は、米国内の港湾間輸送に米国製船舶の使用を義務付けるものだ。
ロイターによると、ジョーンズ法の適用免除は早ければ米国時間3月12日にも実施される可能性があり、これが実現すれば米国内の港湾間燃料輸送で外国船を使用することが可能になる。
ブルームバーグの報道によれば、ホワイトハウスは30日間の免除措置を計画している。これにより、外国籍のタンカーがメキシコ湾岸地域の燃料を東海岸の製油所に供給できるようになり、米国内のガソリン価格を押し下げる可能性がある。
ジョーンズ法は、大統領が「国防上の利益に必要である」と判断した場合、あるいは緊急事態において免除することができる。
「1920年商船法」との正式名称を持つこの法律は、戦時中の貿易や軍事的ニーズを支えるため、米国が自国の船舶と乗組員を維持することを目的として制定された。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官はウォール・ストリート・ジャーナルへの声明で、「国防上の利益を考慮し、重要なエネルギー製品や農業必需品が米国の港へ滞りなく流れるよう、期間限定でのジョーンズ法の免除を検討している」と述べた。ただし、「この措置はまだ最終決定されたものではない」と付け加えた。
トランプ政権がジョーンズ法の免除を検討する背景には、ガソリン価格の急騰がある。米国とイスラエルによるイラン攻撃以来、全米の平均ガソリン価格は60セント以上跳ね上がり、1ガロンあたり3.59ドルに達した。戦略的要衝であるホルムズ海峡の混乱によって世界の石油供給が圧迫され、原油価格が1バレル100ドル以上に押し上げられた。国際エネルギー機関(IEA)は、イラン戦争が「世界の石油市場の歴史の中で、最大の供給混乱を引き起こしている」と警告している。
免除措置は、国内の供給ボトルネックの解消に寄与する可能性がある。米国の製油能力の大部分はメキシコ湾岸に集中している一方で、東海岸が生産量をはるかに上回る量を消費しているからだ。外国籍のタンカーによる港湾間輸送を許可すれば、輸送能力が増強され、ホルムズ海峡の混乱がさらに悪化した場合でも価格の安定につながる可能性がある。現在この免除措置がない状況下では、東海岸のサプライヤーはテキサスから高価な米国籍船で運ぶよりも、欧州やアフリカから石油を輸入する方が安く済むことが多い。
今週初め、エネルギー省は戦略石油備蓄から1億7200万バレルを放出すると発表したが、原油価格の上昇には歯止めがかかっていない。



