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2026.03.13 08:00

イランの実権を握るのはモジタバ師ではない、負傷発表で露呈した「体制の内幕」

イランの首都テヘラン中心部の大通りに面したビルに掲げられた、初代最高指導者ホメイニ師に見守られながら第2代最高指導者の父アリ・ハメネイ師から国旗を受け取るモジタバ・ハメネイ師を描いた巨大壁画。2026年3月10日撮影(Majid Saeedi/Getty Images)

第三に、モジタバ師の負傷と、それをイラン政府が遅ればせながら認めたことで、脆弱性の連鎖が生まれた。すでにイスラエルはモジタバ師を「正当な標的」と見なすと公式に表明。ドナルド・トランプ米大統領はモジタバ体制について「長くはもたない」と宣言した。

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公の場に姿を見せることなく、容態も不明なままで、権力の正統性を専門家会議の全会一致ではなく軍事力の後ろ盾に頼る最高指導者は、その存在を担ぎ上げた体制に完全に依存して生き延びるしかできない指導者だ。

企業各社はそろばんを弾く

エネルギー企業の経営陣や湾岸地域に投資する投資家にとって、革命防衛隊の権力掌握はシナリオの幅を狭める。革命防衛隊が主導するイランは、交渉の余地が少なく、ホルムズ海峡の緊張を激化させ、外交に必要な柔軟性を構造的に欠く。ブレント原油が1バレル=100ドル台で取引される背景には、この現実がすでに織り込まれている。湾岸航路の保険料は急騰した。アジアの買い手、特に制裁対象のイラン産原油に依存する中国は、目下の紛争が一段落した後をもにらんだサプライチェーンの再構築を迫られている。

問題はもはや、モジタバ師が強硬派か、現実主義者かという話ではない。革命防衛隊が戦時下で強引に担ぎ上げた最高指導者が、革命防衛隊の望まない決定を下せるだけの独立した能力を保持しているかどうかである。

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イスラム共和国の歴史が示す前例は、ただひとつ。本能に反して毒杯を飲み干した指導者、それはホメイニ師だ。その命令に対する周囲の服従ぶりは、現在その地位にある者にとって羨ましいばかりだろう。

モジタバ師の玉座を築いたのは革命防衛隊である。モジタバ師がその座に就いて何をするかは、革命防衛隊が決めるのだ。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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