気候・環境

2026.03.15 12:00

気候変動でワインが「より酔いやすい」お酒になっている?

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自然や人間の活動が、大気や海洋、社会にどのような影響と変化を及ぼしているのか。気候科学者として筆者はそれをよく知っている。だが、研究者仲間のジェイス・ウィーバーからメールをもらうまで、「気候変動によりワインのアルコール度数が高まる傾向にある」という現象には気づかなかった。この原稿を執筆する前夜も、妻と音楽を聴きながらロゼワインに酔いしれていたというのにだ。

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気候変動がワインのアルコール度数を上昇させているという主張を、もう少し掘り下げてみよう。

ウィーバーは宗教学・法学を専門とする米ジョージア大学の著名教授で、ワイン愛好家だ。メールには「かつて(ワインの)アルコール度数の標準値は12%だった。今では12%の高級ワインは珍しい」「地元の専門家に聞いたところ、気候変動が原因だということだった」とあった。筆者もがぜん、その専門家から話を聞きたくなった。

気候変動がワイン生産に与える影響

ワイン輸入業者のグレゴ・デファルコ・スモリックはイタリア生まれで、ジョージア州アセンズで小さなバーを営みながら今も頻繁にイタリアを訪れている。「彼ほどワインに詳しい人物はいない」とウィーバーが太鼓判を押すスモリックと実際に話してみたところ、その評価は誇張ではなく、メールで教えてもらった内容も筆者の調査で確認できた科学的報告と一致していた。

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たとえば、気候変動の影響と解決策について研究報告を行っている米非営利研究組織「クライメート・セントラル」は2021年、ワインと気候の関係に関する妥協なき分析結果を発表。ワイン用ブドウの最適な生育温度を特定し、米国の主要なワイン産地で生育期の気温が著しく上昇している事実を明らかにした。産学にまたがる複数の研究で、気候変動がワイン産業にさまざまな形で影響を与えることがわかっている。ワイン用ブドウ品種の栽培が可能ないし不可能となる地域適性や、気温の上昇によりブドウの成熟期がより暖かい季節へとずれ込むこと、干魃による収量低下などだ。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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