アルコール度数が高いとワインはどうなる?
アルコール含有量がなぜ問題になるのだろうか。スモリックによれば、約30年前の高級ブルゴーニュワインやキャンティ・クラシコのアルコール度数は12.5~13%だった。「今では14~15.5%だ」と彼は言う。「たった0.5%の違いでも、影響は大きい。フレーバー(風味)だけでなく、ストラクチャー(骨格)、粘性、タンニン、口当たりの重さも変わる」
飲む人への影響も見逃せない。筆者は本記事冒頭で「酔い」に軽く言及したが、アルコール度数の高さは、消費習慣、健康、ワイン産業の活況に深刻な影響を及ぼす。
「醸造家にしてみれば、ほんのわずかな偏差であっても、アルコール度数が1~2度高いワインをつくることになりかねない。これでは酔っ払いやすいだけでなく(アルコール度数16%のワインを2杯飲めば車の運転はできない)、果実味が強すぎ、味わいはぼやけ、アロマ(香り)も平坦なワインになってしまう」。酒や食に詳しい米ジャーナリストのキャサリーン・ウィルコックスは2023年、種類専門ウェブサイトLiquor.com掲載の記事でこのように警告。「Liv-ex(英ロンドンを拠点とする国際ワイン取引所)が行った過去30年間のアルコール度数調査では、カリフォルニア、ピエモンテ、トスカーナ、ボルドーのワインで2010年~19年の10年間の平均度数が1990年代よりも高くなっていることがわかった」と記した。
スモリックは「これが世界の歴史の中でほんの一瞬の出来事なのか、新世代がこうした味わいに慣れて、当然のものと考えるようになるのかはわからない。しかし、これらはワインを有名にした要素ではない。私個人の意見では、多くのワインからニュアンスが失われている」と嘆いた。


