気候・環境

2026.03.15 12:00

気候変動でワインが「より酔いやすい」お酒になっている?

Shutterstock.com

ワインライターのジェマ・ブーシェは昨年、世界最大級のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」のウェブサイトへの寄稿に「5月に発表されたカナダ・ブリティッシュコロンビア大学、フランスの国立農業・食料環境研究所(INRAE)とアンスティチュ・アグロ(国立農業・食料・環境高等教育機関)による国際研究で、ワイン産地ではこの70年間で有効積算温度(GDD)が約100日分高くなったことが判明した」と記した。学術誌『ネイチャー』に2024年に掲載されたレビュー論文では、ブドウの収穫時期が約10年前と比べて2~3週間早まっていることが明らかになった。雹、豪雨、熱波、山火事の増加も気候ストレス要因となっている。

advertisement

ワインのアルコール度数が上昇している理由

数十年にわたりワイン業界で働いてきたスモリックは、ワイン輸入だけでなく、ワイン生産に長年携わる醸造家、農学者、農家との交流を深め、新たな関係の構築にも努めてきたと筆者宛てのメールで教えてくれた。

スモリックが最初に気づいたのは、友人の生産者が送ってくれたワインが以前よりも渋みや酸味、アルコール感の強い「アグレッシブ」な出来だったことだという。電話で事情を尋ねてみると、友人は「苛立ちを爆発させた」そうだ。「暑さでブドウの糖分生成が通常より進んでしまい、発酵に影響したため、高いアルコール度数で瓶詰めせざるを得なかったと言っていた」

スモリックはその後およそ10年間にわたり、VinItaly(ヴィーニタリー)などのワイン見本市を訪れるたびに生産者へのインタビューを実施。すると業界では、ブドウの糖度が高いほどアルコール含有量も高くなることが広く知られていた。

advertisement

「温暖化がワインに影響しているかどうかはもはや問題ではない。問題は、どんな対策が取られているかだ」とスモリックは断言する。収穫時期を早めるのも選択肢の1つだが、成熟度が一定でなかったり、ブドウの木に葉ばかり茂るようになってしまったりするため、そう簡単にはいかないという。

スモリックはまた、「大量一括生産を行うメーカーは商品を『合格ライン』まで持っていくため、さまざまな化学物質や着色料を使いがちだが、誠実さを重視する生産者はこうしたことは行わず、地域のワインを純粋なまま保とうとする。重要なことに、そのほうが地下水への影響を最小限に抑えられる」とも指摘した。

次ページ > ワインからニュアンスが失われている

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事