アート

2026.03.14 14:15

カタールでアート・バーゼル初開催 文化国家が拓く「MENASA」というフロンティア

ハウザー&ワースは、フィリップ・ガストンの後期代表作を提示。美術館クラスの作品展示が開会前から大きな話題となった。(Courtesy of Art Basel)

ハウザー&ワースは、フィリップ・ガストンの後期代表作を提示。美術館クラスの作品展示が開会前から大きな話題となった。(Courtesy of Art Basel)

民間主導でアートマーケットを拡大してきたドバイ、ルーブル・アブダビやグッゲンハイム・アブダビなど世界的美術館の誘致を進めるアブダビ、そして「ビジョン2030」のもと石油依存経済から文化・芸術へと舵を切るサウジアラビア。その側で、カタールは長期的な文化・芸術戦略を一貫して進めてきた。

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カタールのプライオリティは、「文化のインフラの成熟度」と「時間軸」にある。中東でアートの存在感が急速に高まるなか、初の「アート・バーゼル・カタール」がドーハ中心部ムシェイレブ地区のM7およびドーハ・デザイン・ディストリクトで開催された(プレビューを含む会期は2026年2月3日〜7日)。

フェアの2つの会場を緩やかに繋いだバラハ・ムシェイレブ。周囲には欧米資本のラグジュアリーホテルやレストランもある。(Courtesy of Art Basel)
フェアの2つの会場を緩やかに繋いだバラハ・ムシェイレブ。周囲には欧米資本のラグジュアリーホテルやレストランもある。(Courtesy of Art Basel)

旧市街再生が生んだ文化地区を舞台に

ドーハの文化拠点ムシェイレブ地区。ガラス張りの超高層ビルが立ち並ぶ新市街とは対照的に、伝統的なイスラム建築様式を継承しながら旧市街を再生したこのエリアは、「ヒューマンスケールの歩ける街」をコンセプトに開発された都市再生プロジェクトだ。中東でも珍しい持続可能な都市開発モデルとして注目を集めている。

2つの会場をつなぐ開閉式の屋根を持つバラハ・ムシェイレブの周囲には、ラグジュアリーホテルやレストラン、デザイン施設が点在する。アート・バーゼル・カタールの開催は、この地区が新たな文化拠点として成熟しつつあることを象徴する出来事といえる。

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会場のひとつ、M7。ムシェイレブ地区内を無料で走る路面電車もフェアの開催を知らせるアートが施された。(Courtesy of Art Basel)
会場のひとつのM7。ムシェイレブ地区内を無料で走る路面電車もフェアの開催を知らせるアートが施された。(Courtesy of Art Basel)

プレビューの日、会場入口には長い列ができ、高揚感が漂っていた。アートフェアでは見慣れた光景だ。だが、他の開催地でおなじみのシャンパンのワゴンや、グラスを片手に歩くVIPの姿はここにはない。ギャラリストたちがブースでシャンパンを開ける光景も見られない。カタールの宗教的・文化的規範によるものだ。代わりにラウンジでは、アラブ社会における伝統的な歓待として、スパイスの香り高いアラビック・コーヒーと希少な品種のデーツが振る舞われた。

アート・バーゼル・カタールのもう一つの会場、ドーハ・デザイン・ディストリクト。会場では、芸術監督、ワエル・シャウキーのキュレーションによる特別プロジェクトが展示された。(Courtesy of Art Basel)
アート・バーゼル・カタールのもう一つの会場、ドーハ・デザイン・ディストリクトには、芸術監督ワエル・シャウキーのキュレーションによる特別プロジェクトが展示された。(Courtesy of Art Basel)
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文=藤野淑恵

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