こども家庭庁は2026年度から、片道1時間以上かかる不妊治療の通院交通費を最大8割補助する方針を示している。政策的な後押しが進む一方、当事者が実際に直面しているのは、交通費をはるかに超えた重さだ。
銀座リプロ外科が20〜30代の既婚・子どものいない妊活中の社会人女性を対象に実施した調査で、妊活に関連して収入が減少した経験があると答えた人が37.5%にのぼることがわかった。

通院中・通院経験者134人に片道時間を尋ねると、17.9%が1時間以上かけて通院しており、補助対象となりうる層も一定数含まれている。ただ、交通費補助が手当てするのは、あくまで移動コストだ。欠勤や業務調整による収入減という別の経済的負担が、その陰に積み重なっている。

仕事への影響は有給消化からキャリア変更まで
働き方そのものへの影響も広範囲に及び、妊活と仕事の両立に負担を感じると答えた人は82%にのぼる。

仕事への具体的な影響として最も多かったのは「有給休暇の取得が増えた」で33.5%。「遅刻・早退が増えた」(24.5%)、「当日欠勤が増えた」(23.5%)と続き、通院のたびに有給を消化し、それでも足りずに遅刻や欠勤が重なっていく実態が浮かぶ。
さらに「退職を検討した」18%、「転職を検討した」15.5%という人もおり、妊活がキャリア選択そのものに影響を与えていることがうかがえる。

不安から妊活を諦めようと思ったことがあると答えた人は52.5%と半数を超え、負担が治療を続ける意思そのものを削っているケースもあるようだ。
なぜここまで負担が重くなるのか。その背景のひとつに、職場への未開示という構造がある。



