経済・社会

2026.03.16 16:00

原油価格と関税の「複合ショック」、米国のスーパーとレストランを襲う食料高騰

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米国のスーパーマーケットにとって、最大のリスクは供給の優先順位を下げられる可能性

米国のスーパーマーケットや消費財企業の投資家にとって、最大のリスクは単にコストが上昇することではない。「供給の優先順位を下げられる可能性」だ。原油価格の高騰と関税ショックが同時に起きると、世界のサプライヤーは、限られた生産能力や物流、運転資金をどの市場に振り向けるかの選択を迫られる。

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もし米国が、単一の政策決定で一夜にして利益率が消えかねない変動の激しい市場と見なされれば、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、アジア各地の輸出業者は、より安定した条件を提示する買い手へと向かうだろう。原油価格と関税というコストは、店頭価格の上昇だけに表れるわけではない。商品の選択肢の減少やイノベーションの鈍化、そして「米国市場を戦略の中心に置かなくても成長できる」と考えるサプライヤーの増加という形でも現れてくる。

輸入への依存度が高いカテゴリーでは、価格上昇が最も早く表れる

米国のスーパーマーケットで販売される食品の多くは、依然として国内で生産・加工されている。しかし、輸入への依存度が高いカテゴリーでは、価格上昇が最も早く表れる。特に、加工食品の棚や生鮮食品売り場の商品でその影響が目立ちやすい。これらは、消費者が「インフレが戻ってきた」と感じるかどうかを左右する商品群だ。

コーヒー、茶、ココア、チョコレート

米国はこれらの商品の大半を輸入に依存しており、関税関連のデータでは、すでに関税導入前と比べて2桁の価格上昇が確認されている。多くの原産国に一律10%の関税が適用されるうえ、運賃や保険料も上昇しており、今後価格上昇圧力が高まる可能性がある。

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熱帯の果物、オフシーズンの農産物

バナナ、マンゴー、パイナップルのほか、オフシーズンのベリー類や野菜は、関税の影響もあってすでに通常のトレンドを上回る価格上昇を示している。中東情勢の影響で航路が長くなれば、冷蔵トラックやコンテナ船の燃料費も上昇し、輸入コストは押し上げられる。

魚介類

アジアなど海外の漁業からの輸入に大きく依存している魚介類の価格は、関税の影響のみで、すでに以前より約8%高くなっている。しかもここには、燃料費やコールドチェーンのコストの上昇がまだ十分に織り込まれていない。

食肉、鶏肉

米国は世界有数の食肉生産国だが、それでも関税の影響で肉の価格は、通商措置がなかった場合と比べて約5%高い水準になっている。飼料、肥料、燃料の価格上昇も加われば、コスト圧力は一段と強まる可能性がある。

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翻訳=上田裕資

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