プライベート投資家からよく同じ質問を受ける。ベンチャーキャピタル(VC)ファームは公開市場を上回るのか、というものだ。
ここでは、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の最新データを例に、私が用いたフレームワークを示す。a16zは過去最大となる150億ドルの資金調達を行い、それに合わせて全ファンドのパフォーマンスを公開したためだ。
そこで私は、Packy McCormick/Not Boringがまとめた、2009年以降のa16zファンドのパフォーマンスに関する過去データを用い、ナスダック100トータルリターン指数(XNDX)と同条件で比較した。
見出しになる結果は挑発的だが重要である。
合理的な仮定の下では、LP(リミテッド・パートナー)にとってのa16zファンドの平均ネットリターンは、同期間のナスダック100トータルリターンをわずかに下回った(単純化したキャッシュフローモデルに基づく)。しかも流動性は著しく劣る。
もちろん、この特定の例は、公開市場が常にVCファンドを上回ることを意味しない。加えて、過去の実績が将来の成果を保証するものではない点にも留意してほしい。
それでも以下のフレームワークは、ベンチャーファームのパフォーマンスを公開市場と比較する際に有用だ。まず、VCファンドが公開市場のベンチマークと比較するうえで、どのリターン指標が適切かを考える。
TVPIとIRRの違い
ベンチャーのパフォーマンスは、年率リターンではなく「倍率」で語られることが多い。
• DPI(distributions to paid-in capital)は、投資家にとってのキャッシュ・オン・キャッシュのリターンを測る指標である。分配金を投下資本で割って算出する。
• TVPI(total value to paid-in capital)は、(分配金+残存価値)を投下資本で割った比率である。
これらは有用なスナップショットだが、倍率は時間を無視する。15年で3.0倍と7年で3.0倍は同じではない。
ベンチャーリターンを公開市場と比較するには、倍率ベースの開示を、時間を考慮した指標に変換することが有用だ。例えばIRR(内部収益率)である。これには、資本がいつ拠出され、いつ返ってくるかについての仮定が必要になる。
公開市場ベンチマーク
公開市場のベースラインとして、私はXNDX、すなわちナスダック100トータルリターン指数(配当の再投資を前提とする版)を用いた。
これは重要だ。テック分野の配当は大きくはないがゼロでもない。長期では複利で効いてくる。
私の方法論
各ファンドについて実際のLPキャッシュフロースケジュールがないため、各ファンドのネットIRRを算出するにはいくつかの仮定を置く必要があった。
1. ファンド横断で投資額が同額の投資家(設計上は単純平均)
「典型的な投資家」を、時間の経過とともに各a16zファンドに同程度の金額を継続配分する人物として扱った。そのため、ファンド規模での加重ではなく、ファンド間の単純平均リターンを用いた。
プラットフォーム全体としてa16zがどれだけの資金を返したか(総額)を推定するのが目的なら、加重は重要だ。しかしここでの目的は、安定的に配分する投資家にとっての「平均的なファンド体験」がどのようなものかを把握することにあった。
2. 資本コール:最初の3年間で均等
各ファンドについて、投下資本はビンテージ年から始まる最初の3年間に均等にコールされると仮定した(ベンチャーのドローダウンでよく見られるパターンである)。
3. 分配:10年目に一括で到来するとモデル化
DPIが示唆する実現分配は、各ファンドの存続10年目に一括で入るとモデル化した。ビンテージが2015年以降のファンドについては、分配は(平均的に)2024年に行われたと仮定した。
単純化か。そうである。分配のタイミングを早めたり遅らせたりすればIRRは変わり得るか。そうだ。IRRにとってタイミングは常に重要である。しかし実際の分配スケジュールがない以上、この「平均年」アプローチは合理的な近似と言える。
4. 残存価値:測定日時点で実現
未実現部分(TVPIからDPIを引いた分)は、2025年9月30日(パフォーマンススナップショットの「as of」日)に実現した残存価値として扱った。つまりIRRは、a16zの社内評価に一部依存する。これも避けがたい制約である。
5. ナスダック比較:同じ拠出スケジュールを反映
ナスダックについても同様の行動をシミュレーションした。最初の3年間に資本の3分の1ずつを投資(各ファンドの投下スケジュールに一致)し、その後2025年9月30日まで保有、XNDXで評価した。
このモデルを用い、2024年と2025年のビンテージ(シグナルとしては若すぎる)を除外すると、結果は次の通りとなった。
• a16zのLPネットIRR平均:22.2%
• ナスダックの同等IRR平均:22.9%
見ての通り、この特定の例では、LPのリターンは市場平均リターンを上回らなかった。
流動性の観点は、0.7%のリターン差以上に重要である。ベンチャーには忍耐が必要であり、DPIは長年にわたり遅れがちだ。つまり「リターン」の大半が、長期にわたり帳簿上のものにとどまる可能性がある。
手数料が多くを説明する
私はまた、LP利益に対して一般的に課される20%の成功報酬(キャリー)と、2%(資産比率)の管理報酬を加え戻すことで、粗いグロスリターン推計も行った。
その結果得られた27.7%のグロスIRRは、ファンドレベルの費用(管理報酬とは別に課される)や、キャッシュドラッグ効果(現金準備、キャッシュフローのタイミング不一致)を考慮する前の段階でも、ナスダックのベンチマークを大きく上回った。
VCファンドのLPにとっての示唆
1. TVPI/DPIだけでなく、ネットIRRの分析が重要だ:倍率は重要だが、公開ベンチマークと比較できるよう、キャッシュフローのタイミングも考慮したい。
2. ゲームは想像以上に長い:最高クラスのベンチャーファンドであっても、すべての投資をエグジットするまでに15年以上かかり得る。一方でLP持分を売却しようとすると、NAVに対して大幅なディスカウントになることが多い。
3. VCファンドのリターン以外の無形価値も忘れてはならない:共同投資案件へのアクセス、学び、ネットワーキング/コミュニティ、最新テックトレンドへのエクスポージャーは、いずれも重視すべき無形の便益である。
4. 直接投資も選択肢である:質の高いディールフローにアクセスできるなら、スタートアップへの直接投資を試し、VCファンドのLPポジションとリターンを比較するという選択肢もある。
本記事は教育目的に限られ、投資助言を構成するものではない。本記事は特定のVCファンドやETFを推奨するものではない。過去の実績が将来の成果を保証するものではない点に留意してほしい。
参照したa16zのパフォーマンス数値は、2025年9月30日時点の第三者報告を基に編纂されたものであり、キャッシュフローの透明性が限定的であるため、リターン比較は単純化した仮定に依拠している。



