キャリア

2026.03.12 17:00

83%のハイパフォーマーが燃え尽き状態、「有害な成功」の実態と持続可能な成功者が実践していること

Shutterstock.com

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2026年の今、燃え尽きにつながる「有害な成功」が、ビジネスパーソンを限界まで追い詰めている。新たな調査により、その代償はわれわれが考える以上に大きいことが明らかになった。ハイ・パフォーマーの燃え尽きは未曾有の水準に達しており、実に83%との推定さえ存在する。

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有害な成功の特徴としては、絶え間ない上昇と忍耐を賛美することがあげられる。労働時間を伸ばし、睡眠時間を削り、食事の時間さえ惜しんで、同僚と熾烈な競争を繰り広げ、常に連絡可能な状態を保ち、限界を突破することがよいとされるのだ。

だが、メンタルヘルスを取り巻く状況や、2026年に新たに得られたデータは、異なる筋書きを物語る。野心の代償が露呈しつつあり、成功者にさえ重くのしかかっている。有害な成功は、往々にしてウェルビーイングの犠牲の上に成り立っているのだ。

有害な成功の陰で、ウェルビーイングが損なわれる

米国のアルペンスキー選手でバンクーバー五輪女子滑降金メダリストのリンゼイ・ボンのような一流パフォーマーは、自らを奮い立たせて過去の痛みを乗り越え、困難をものともせず次の勝負に挑む。だが、ミラノ・コルティナ五輪女子滑降の決勝戦、スタートから13秒でボンは転倒し、復帰戦は負傷による棄権に終わった。彼女のレジリエンスとリスク耐性は、とうに限界を超えていた。

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限界を超えて過労を続けた場合に何が起こるかは、証拠が雄弁に語っている。死、人間関係の崩壊、キャリアの早すぎる終焉に至りかねないのだ。有害な成功は、ウェルネスを犠牲にした忍耐に依存しており、ハイ・パフォーマーは、ストレスと燃え尽きの明確な兆候を無視することを強いられる。彼らは極度の疲労、心臓血管疾患、身体的苦痛、その他の心因性疾患を抱えたまま働き続ける。

皮肉な事実をお伝えしよう。最も高いリスクを抱えているのは、無気力な社員ではなく、野心に燃える社員なのだ。イソップ寓話で、カメがウサギとの競走に勝ったパラドックスが思い起こされる。にもかかわらず、有害な成功を賛美するカルチャーにおいては、午前9時から午後9時まで、週6日働くという「996勤務」が是とされる。

有害な成功における「偽りの達成感」

生涯学習支援アプリHeadway(ヘッドウェイ)が2000人の成人を対象に実施した調査から、顕著な矛盾が明らかになった。調査において、ハイ・パフォーマーの77%は、自身を成功者とみなしていた。にもかかわらず、同じハイ・パフォーマーの81%が、人生の少なくとも一つの側面に関して、同年代の他者に後れを取っていると感じていた。思わず読み返してしまう、目を疑うようなデータだ。

自分は成功者だと確信している人々でさえ、劣等感を抱えている──このような認識のずれが、長時間の無理な労働の背景にある。調査の結論では、ビジネスパーソンが支払っている大きな代償が指摘されている:

・回答者の44%は、目標達成のために自由時間を諦めた。
・回答者の37%は、睡眠時間を削った。
・回答者の37%は、自身のメンタルヘルスをないがしろにしていると答えた。
・回答者の37%は、昇進のために個人の価値観に反することをしたと答えた。

このなかでもっとも憂慮すべきデータは、睡眠不足ではなく、自分の価値観を曲げた「37%」という数字だ。野心がアイデンティティを抑え込んでいるなら、それは有害な成功そのものだ。結果として起こる燃え尽きは、心理的なものにとどまらず、道徳心の疲弊に至るおそれがある。

有望そうなAIツールや、生産性実現をうたうショートカットはちまたにあふれているが、回答者の72%は、自身が成功できたのは揺るぎない自制心とたゆまぬ努力のおかげであり、自動化のおかげではないと答えた。つまり、昨今の有害な成功は、クレバーな働き方ではなく、忍耐の賜物なのだ。だが、忍耐にも限度がある。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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