この1年間、政治的緊張や経済の浮き沈み、絶え間ないニュースの洪水にさらされてきた多くの社員たちは、活力にあふれて2026年を迎えたとは言いがたい。それどころか、疲弊したままどうにか歩き続けている状態だ。ヘッドウェイの調査では、回答者の32%が、脳を「仕事モードに戻す」ことが最大の課題だと答えている。さらに事態の深刻さを物語るのは、回答者の22%が、今年の主要目標は成長ではなく生き残りだと答えたことだ。
にもかかわらず、パフォーマンスへの期待は相変わらず高い。ヘッドウェイに所属する有資格ヘルスコーチで、燃え尽き予防を専門とするタリア=マリア・トゥルキスは、リーダーが進化しなければならないと説く。
「リーダーたちは長いあいだ、自分がすべきことは高い基準を設けるか、共感を示すかのどちらかだと考えていました」と、トゥルキスは語る。「2026年の今、そのような切り分けはもはや役に立ちません。強いリーダーは、両方を高い水準で維持すべきなのです」
常態化した切迫感、場当たり的なワークフロー、絶え間ないデジタル監視により、神経系は軽度の「闘争・逃走」モードから抜け出せなくなる、とトゥルキスは説明する。慢性的な不安の下では、高水準のパフォーマンスはいずれ崩壊する。
トゥルキスは、シンプルかつ的確な洞察を示した。それは、仕事の「感情温度」を下げるというものだ。目標を下げるのではなく、通常時の緊張を和らげるのだ。リーダーは、卓越した成果の持続を望むのならば、それを実現できる穏やかな環境を設計しなければならない。
有害な成功は、恐怖と不安を煽る
Eメール検証サービスのZeroBounce(ゼロバウンス)が、米国とヨーロッパの会社員1157人を対象として実施した調査では、「有害な成功」カルチャーの見えづらい部分が明らかになった。それは、「予期不安(anticipatory anxiety)」であり、人々がオフの時にもEメールをチェックしてしまう背景にある動機だ。
・成功者の48%が、重要事項を見過ごしてしまうことを恐れ、休暇中にEメールをチェックしていた。
・回答者の約4分の3が、勤務時間外でも返信すべきだというプレッシャーを感じていた。
・回答者の70%が、休暇明けに仕事に圧倒されるような(気が重い)感覚を覚えていた。
さらに回答者は、不安を裏づけるさまざまな行動を示していた。
・38%が、ベッドで隣にパートナーがいる時にEメールをチェックしていた。
・53%が、トイレでEメールをチェックしていた。
・30%が、運転中にEメールをチェックしたことがあると答えた。
ゼロバウンスの創業者兼CEOであるリヴィウ・タナセも、「私は1日に1000通ほどのEメールを受け取っています。受信ボックスをチェックしないで過ごす時間が数時間を超えることはめったにありません。オフの日を含めてです」と語る。
「ある程度は切迫感からですが、それよりも責任感や、重要事項を見落としてしまうのではという恐れの方が大きいです。また、完全に接続を切った場合、仕事に戻った時の作業量に圧倒されかねないという思いもあります。このようなプレッシャーは、休暇を取っただけでは解消されません」
調査の回答者たちは、必要に迫られてメールチェックをしているわけではないと述べる。むしろ、メールチェックをしていない状態に耐えられないのだ。このように、常に認知能力を拘束された状態では、完全な神経学的回復は望めない。脳を完全に休ませることができないからだ。そして回復ができなければ、パフォーマンスは危うくなる。休息であるべき時間が、常に監視下に置かれているようなものだからだ。


