経済

2026.05.13 16:45

「ハゲタカ」のベストセラー作家が、あえてクラファンで世に問う財政破綻後の世界!

WOWWOWで映像化され話題を呼んだ『オペレーションZ』(新潮社刊)

WOWWOWで映像化され話題を呼んだ『オペレーションZ』(新潮社刊)

約1200兆円超の累積債務を背景に、わが国で続く財政破綻(デフォルト)議論。主な論客グループは「支出抑制と税収確保を重視して再建」を説く財政規律派と、「現代貨幣理論(MMT: modern monetary theory) 」にのっとり「自国通貨建ての国債は破綻しないが、インフレの管理は重要」とする派など、まさに侃侃諤諤の議論が繰り広げられてきた。

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だが日本のデフォルトのリスクは主に専門家を中心に論じられこそすれ、いまだ会社員の平日ランチの話題にのぼるほどには自分ごとにされていない。それどころか「日本は未来へ借金を先送りしている」とも論じられるこのテーマにある種の嗜虐性を感じ、わがこととして受け止めるのを避ける印象すらある。

そんななか、デフォルトした日本を鮮烈に予測活写したある恐ろしい超短編近未来SF小説が存在する。

著者は「ハゲタカ」シリーズで有名な小説家の真山仁氏。氏はこのたび、2017年に自らが執筆したこの超短編近未来SF小説『デフォルトピア』に大幅加筆、クラウドファンディングによる出版にチャレンジするという。そのクラファンが5月8日にスタートし、話題を呼んでいる。

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小説という技法でこの国民的テーマに肉迫を試み、より多くの未来読者の意志を反映し得る「クラファン」という資金調達方法で世にムーブメントを起こそうとする作家。そのチャレンジに注目したい。


“富裕層と若者が、日本から出て行った。介護サービスを行うヘルパーもいなくなり、自立できない人たちの衰弱死が急増する。遺体の処理も出来ず、街は本当に緩やかに死に始めた。……”

WOWWOWで映像化され話題を呼んだ『オペレーションZ』(新潮文庫)内に断片的に挿入されるフィクション、『デフォルトピア』の一節だ。架空のSF作家、桃地実が発表する日本の財政破綻を描いたこの作中作では、「破綻により石油や天然ガスを外国から買えなくなって電気やガスが使えなくなり、米も肉も魚も食べられなくなる」といったディストピアがまざまざと描かれる。

真山氏は現在この作中作『デフォルトピア』を拡大執筆中、独立した小説として発表する予定だ。しかも「少しでも早く作品を世に出すため」にクラウドファンディングによる出版に協力を仰ぐという。

氏は次のように語ってくれた。

「今、日本のデフォルトのリスクはより一層高まっています。次の一手をどう打つのか、どの道を進むのか。その選択には一刻の猶予も許されないとさえ感じています。迫りつつあるデフォルトの危機を絵空事ではなく『私たちが直面しているリスク』として共に向き合い、共有していきたい。

物語だからこそ『もしも』を自分事として考えられる。それが小説の力です。小説家として、また日本の未来を大切に思うひとりの人間として、小説『デフォルトピア』を書き上げようと決意しました。

大変残念ながら、現在の出版事情では、執筆から出版までにはいくつものハードルがあり、相当な時間も要します。そのため、クラウドファンディングによる出版にチャレンジします」

Forbes JAPANでは、まずは拡大版のベースとなるこの作中作『デフォルトピア』を、経済学者で東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏に読んでもらった。

金融論、契約理論、企業ガバナンスなどが専門で、日本の産業構造転換について経済学的な論考も多い柳川氏は、今回の真山氏の「拡大版デフォルトピア」執筆構想をどうみるか。真山氏の言う「次の一手」を、われわれはどう打つべきと考えるか。

以下、柳川氏によるコメントである。


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